- 授乳しても、赤ちゃんが泣いて眠ってくれない…
- 赤ちゃんがすぐに目を覚まして、授乳間隔があかない…
初めての出産、そして授乳には悩みがつきものですよね。
一般的に、赤ちゃんが生後2~3か月になると母乳の分泌量が増えると言われていますし、赤ちゃんも体力がついてくるため、一度にたくさんの母乳を飲めるようになりますから、そうした悩みは自然に解決していくと考えられます。
しかし、なかなか上手に授乳ができず、乳腺炎にかかったり、いくら授乳しても赤ちゃんが泣いて眠ってくれず、授乳自体を苦痛に感じてしまうママも多いことでしょう。
ここでは、乳腺炎を防ぎ、赤ちゃんも満足して眠りやすくなる、上手な授乳のコツを6つお伝えします。なかなか上手く授乳ができないと悩んでいるママは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
乳腺炎を防いで、赤ちゃんもグッスリ! 覚えておきたい授乳のコツ
質のいい母乳をたくさん出し、赤ちゃんにたっぷり飲んでもらうことは、同時にママの乳腺炎を予防する上でも大切になってきます。
母乳の分泌量や、乳腺のつまりやすさなどは個人差があるため、ここでご紹介する方法がすべてのママにピッタリだとは限りませんが、赤ちゃんとママに合わせて、やりやすい方法を無理のない範囲で試してみてくださいね。
1.疲れとストレスをためない
上手な授乳のためには、まず母乳を出しやすくすることが大切です。
疲れたりストレスがたまったりすると母乳が出にくくなるという話はよく知られていますよね。それは、母乳を出すためのホルモンの分泌とストレスが関わっているためなのです。
母乳を運ぶホルモンであるオキシトシンは、赤ちゃんの泣き声を聞いたり、授乳しようと抱っこしたりするだけで反応し、乳房にたまっている母乳を出すはたらきをします。
しかし、ストレスがたまるとオキシトシンが分泌されにくくなるため、母乳の分泌にも影響が出てしまうことが考えられます。ママは、普段からストレスをためないようにすることが大切です。
また、疲れがたまっている時も母乳の出が悪くなります。産後疲れや寝不足、慣れない育児のストレスなども大きいとは思いますが、休める時にしっかり休み、疲れとストレスをなるべくためないようにしましょう。
2.体をあたためる
体が冷えていると全身の血流が悪くなります。
血液から作られる母乳にとって、冷えは大敵。冷え性のママは、特に意識して体をあたためることが大切です。入浴はシャワーだけで済まさず、しっかり湯船につかってあたたまりましょう。その時に、乳房や乳頭をマッサージするとより効果的です。
お風呂でのマッサージは、血行をよくするだけでなく、
- 母乳の出口が開き、母乳を出しやすくなる
- 乳腺のつまりやしこりを予防・改善する
- 乳頭がやわらかくなり、赤ちゃんがくわえやすくする
といった効果が期待できます。
ただし、痛みを伴うしこりがある時や、乳房が赤くなって腫れている場合は、マッサージが刺激となって症状を悪化させてしまう可能性もありますので、入浴前に乳房の状態をよく確認してからマッサージを行ってください。
また、授乳をする前は胸、特に乳房の上部をあたためるようにしましょう。蒸しタオルなどを当てて、乳房付近の血行をよくしておくと、赤ちゃんが飲んだ時にスムーズに母乳が出るようになります。
3.「浅飲み」をさせない
赤ちゃんがママの乳頭を深くくわえることができないまま母乳を飲む、いわゆる「浅飲み」になっていると、乳頭に傷がつきやすくなります。
乳頭に傷があると、痛みのために十分な授乳ができません。そうすると、作られた母乳がしっかり排出されないため、乳腺炎を引き起こす原因になってしまいます。
浅飲みの赤ちゃんは、吸っても吸っても母乳が出てこないために、ますます力を入れて乳頭を吸ったり、時には噛んだりすることがあるため、傷が深くなってますます授乳が困難になる、という悪循環にもなりかねません。
そして、頑張って母乳を吸っても満足いく量が飲めないため、すぐに目を覚ましたり泣いたりしてしまうことにつながります。
月齢が低い赤ちゃんは、特に浅飲みになりやすいので注意が必要です。母乳を飲ませる時は、ママが怖がらず、赤ちゃんに乳輪までしっかりと深くくわえさせましょう。
赤ちゃんの唇がめくれ上がり、口がアヒルのようになっていれば、正しく授乳ができている証拠だと言われています。赤ちゃんが母乳を飲んでいる時の姿を鏡で確認したり、パートナーに見てもらったりして、上手に飲めているかチェックしてみてくださいね。
また、乳頭が固く、伸びが悪いと赤ちゃんは上手く吸い付くことができず、浅飲みになりやすいと言われています。上記のお風呂でのマッサージを行って、やわらかくしておきましょう。
赤ちゃんが乳頭を深くくわえられるようになると授乳も楽になってきますし、赤ちゃんもたくさん母乳を飲めるようになり、母乳の分泌量も増えていくというように、母乳育児が次第に軌道に乗っていきます。飲み方のコツを掴むまでは少し大変ですが、ママも赤ちゃんも頑張りましょう。
4.授乳の途中でゲップをさせる
赤ちゃんの月齢が低い場合は、お腹が空いていて一生懸命母乳を飲むあまり、途中で疲れてしまったり、お腹に空気がたまって苦しくなったりして、飲むのをやめることがあります。そうすると、一度で十分な量の母乳が飲めず、頻繁に泣いて母乳を求めてしまいます。
赤ちゃんが本当にお腹いっぱいになる量の母乳を飲ませるためには、授乳の途中で一度ゲップをさせることも有効かもしれません。
ゲップをすることで赤ちゃんが落ち着き、ふたたび授乳ができるようになると、赤ちゃんもたくさん母乳を飲めるので、満足してくれるようになることがあります。
5.食事はしっかり摂る
母乳育児中に大切なのは、できるだけ栄養バランスのとれた食事を1日3食しっかり摂ることです。
母乳育児中は、ママがあまり食事を摂れない状態でも体は優先して母乳を作ると言われていますが、それだけに、栄養が不足することによってママの体にかかる負担は、通常よりも大きくなると考えられます。
母乳を作って赤ちゃんに飲ませるためには、食事からエネルギーを補給することが欠かせませんので、忙しくてもきちんと食べるように心がけたいですね。
母乳はママの血液から作られますから、食べ物にも気をつけなければならない、とよく言われてきました。しかし最近では、乳腺炎の原因はあくまでも何らかの原因で母乳がうまく排出されずにたまってしまうことであり、食べ物が原因である根拠はないとされています。
そのため、今まで乳腺炎の原因となりやすいと言われてきたケーキなどの洋菓子、チーズやヨーグルトなどの乳製品、揚げ物や肉類なども特に制限する必要はなく、常識的な量を食べるのであれば、これといって問題はありません。好きなものを食べることはストレス解消にもつながりますので、自己流で食事を制限しすぎないように気をつけましょう。
母乳育児中にすすめられる食品としてはさまざまなものがあげられていますが、あまりそれにこだわりすぎるのも考えもの。一つの食品だけを食べ過ぎることは、母乳に、というよりも健康維持にとってあまり好ましいことではありません。
たくさん食べることによって、ママの体に思わぬ影響が出るかもしれない食品もあります。
たとえば、トマトやきゅうり、梨、スイカなどは体を冷やすと言われている食品。こうしたものを食べる時は、常識的な量にとどめておきたいですね。
そして、血液の流れをよくすると言われる玉ねぎは、ママが生で大量に食べると赤ちゃんのお腹にガスがたまりやすくなるという説があるようです。生の玉ねぎばかりムシャムシャ食べるママはそんなにいないかもしれませんが、念のため食べ過ぎには注意しましょう。
食品については「あれはいい」「これはダメ」と線引きするのではなく、あくまでも無理のない範囲でバランスを考えながら、いろいろな食品から栄養を摂取できるようにするのが望ましいと言えます。
また、食事と合わせて、水分も制限することなくしっかりと摂りたいですね。カフェインの入っていない麦茶や、母乳に良いと言われるたんぽぽ茶などでしっかり水分補給をしましょう。
6.なるべく後乳を飲ませる
母乳は、赤ちゃんの飲み始めと飲み終わりで成分が違ってくる、という説があります。
最初の方に出る母乳は「前乳」と言われ、水分が多くて脂質が少ないもの。
長く飲ませていると出る母乳は「後乳」と言われ、量は少ないものの、脂質が多くて腹持ちがよいと言われています。赤ちゃんは、カロリーの高い後乳を飲むとお腹がいっぱいになり、満足するため、「授乳したのにすぐにお腹をすかせて泣いてしまう」ということが少なくなると考えられます。
しかし、後乳が出るまでにはどれくらい時間がかかるのか、ということについては、ハッキリとわかっていないようです。
「後乳」というからには、授乳してある程度の時間がたってから出てくるものと考えられますので、およそ10~20分ほど赤ちゃんに吸わせてからでしょうか。そうなると、ママも苦痛を感じてしまうでしょうし、吸わせすぎで乳頭に傷がついてしまうこともあります。
また、後乳を飲ませるには片方の乳房からしっかりと時間をかけて母乳を吸わせることが必要になってくるため、両方の乳房をバランスよく吸ってもらうことができず、かえってつまりやしこり、乳腺炎というトラブルを招く可能性も考えられます。
そのため、もしこの後乳を飲ませる授乳をする場合は、
- 授乳前に搾乳し、前乳の量を減らしておく
- 片方だけで授乳が終わってしまった場合は、もう一方を楽になる程度に搾乳する
といった工夫も、合わせて必要になってきます。
あまり後乳にばかりこだわりすぎるのも考えものですから、まずは授乳を軌道に乗せて赤ちゃんが少しでも長く寝てくれるよう、上記の5つのコツをしっかり実践してみましょう。そして、自分の乳房の状態と赤ちゃんの機嫌を見ながら、無理のない範囲で後乳を飲ませるチャレンジをするといいかもしれませんね。
赤ちゃんが長く眠ってくれるように、授乳のコツをおさえておくことは、同時に乳腺炎の予防にもつながることがあります。
ただ、ママの母乳の出や、赤ちゃんの飲み方、飲める量などには個人差がありますから、こうしたコツを参考に、少しでも赤ちゃんとママが楽になる上手な授乳の方法を、自分なりに探ってみてくださいね。