一生懸命赤ちゃんに母乳を飲ませようとしているのに、実の母親や姑から
「ミルクを飲ませなさい!」
としつこく言われた経験は、多くのママが持っていることでしょう。母乳を飲ませたいと頑張っているのに、横からミルクミルクと言われてしまったのでは、ママもうんざりしてしまいますね。
年配の女性は、なぜこんなにもミルクをすすめるのだろう……なんて、疑問に思ったことはありませんか?実は、これには母親世代が育児をしていた頃のある風潮と関係がありそうなのです。
ミルクは母乳よりすごい?! ミルク神話全盛の時代
今、まさに育児に奮闘しているママの母親や姑たちが育児をしていた時代、つまり昭和30年代頃、世の中は高度経済成長期のまっただ中でした。
母乳よりもミルクの方が優れているという、いわゆる「ミルク神話」なるものが生まれたのは、ちょうどその時代。
ミルクは母乳よりも栄養があり、赤ちゃんの発育にとって非常によいものであると、みんなが思っていたのです。
当時は、赤ちゃんにミルクを飲ませることが一種のステイタスであり、母乳育児をしている人は貧乏人だなどという偏見も少なからず生まれたのだとか。
そのため、母乳が出ている当時のママたちは、わざわざ母乳を搾り捨てて、赤ちゃんにミルクを与えるといったこともあったようです。
その頃は、今と比べて母乳に関する研究なども少なく、母乳のメリットについてはあまり知られていなかったことも、ミルク神話を加速させた理由かもしれませんね。
おばあちゃんにはミルク神話が残っている?
時代は変わり、母乳についての研究が進む中で、母乳のメリットや素晴らしさが明らかになってくると、今度は母乳育児を推奨する動きが大きくなり、それが今に至っています。
しかし、ミルク全盛期に子育てをしていた世代の女性には、
- 母乳よりミルクの方が栄養がある
- 母乳の栄養はだんだん減っていく
- お金持ちはミルク育児をする
という、いわゆるミルク神話時代の考え方が根強く残っている可能性もあります。そういう考えを持つ実母や姑の場合、ママが母乳を飲ませていても、過剰にミルクをすすめてくるのかもしれません。
また、仮にもおばあちゃんですから、自分が子供をミルクで育てたように、かわいい孫にもミルクを飲ませたい、という気持ちがわいてくるのも、理由のひとつでしょう。
母乳のよさも伝えてわかってもらおう
赤ちゃんが泣いた時に抱っこしていると、「抱き癖がつく」と言ってくる年配の人はまだまだ多いもの。
抱っこなどのスキンシップは、赤ちゃんの心の成長にとって欠かせないものであることは盛んに言われるようになりましたが、抱き癖がつくという考えは今も根強く残っています。
それと同じように、ミルク神話時代の考え方も、すぐには変えられるものではないかもしれません。
もしも、実母や姑がミルクをしつこくすすめてきて、うんざりしてしまう時は、
- 今は母乳育児がすすめられている
- 産科でも小児科でも、母乳でいいと言われた
- ミルクもいいけれど、母乳にもいいところがある
といったことを説明し、わかってもらうようにしましょう。そして何より、ママはママのやり方で育児をし、周りの声に振り回されすぎないようにすることが大切です。
もちろん、母乳がちょっと足りないかな? と思うような時はミルクを足してあげる必要がありますが、そうでないのならあまり気にしないのが一番。
「お母さんたちの時代はそうだったんだな」と割りきって考えるようにしてもいいかもしれませんね。