現在では、赤ちゃんには湯冷ましや果汁を飲ませる必要は特にない、というのが定説になっています。
しかし一昔前、湯冷ましや果汁は赤ちゃんにとって必須アイテムとも言えるものでした。
そのため、今でも
- 「赤ちゃんに湯冷ましを飲ませないの?」
- 「そろそろ果汁をあげたら?」
とアドバイスしてくるお姑さんも多いようです。
しかも、「今は必要ないんですよ」と説明しても、なかなかわかってくれなくて困っているママもいるのではないでしょうか。
そこで今回は、赤ちゃんに湯冷ましや果汁が必要ないと言われるようになったはなぜなのか、そして、お姑さんにもそれを納得してもらうコツなどをお伝えしましょう。
お姑さんが赤ちゃんに湯冷ましや果汁を飲ませたがる理由
今は母乳で赤ちゃんを育てることが望ましいとされていますが、今から30~40年ほど前はミルク育児が推奨されていました。
当時は母乳の成分について現在ほど研究が進んでいなかったため、ミルクは母乳よりも優れていると考えられていたのです。
しかし、その当時のミルクはタンパク質やミネラルが多かったため、水分補給として湯冷ましを与えるようにと言われていました。
また、当時のミルクには鉄分の吸収を助けるビタミンCが添加できなかったことから、果汁を飲ませることでビタミンCを補い、赤ちゃんの鉄分不足を予防していたのです。
こうした時代に育児をしてきたお姑さん世代の女性は、今でも「赤ちゃんには湯冷ましや果汁を飲ませるもの」と考えてしまうのかもしれませんね。
湯冷ましや果汁は本当に必要ないの?
現在では、生後5~6ヶ月で離乳食を開始するまで、赤ちゃんに母乳やルク以外のものを飲ませる必要はないと言われています。
特に、早い時期に果汁を飲ませることは、
- 赤ちゃんの消化器官に負担がかかる
- 赤ちゃんが下痢をしたり、お腹が張ったりして不機嫌になることがある
- アレルギーの原因になり得る
- 果汁の味を覚えると、母乳、ミルク離乳食を受け付けなくなる
といった理由で避けるべきだとされています。
アメリカでは、2001年に「生後6ヶ月までは果汁を与えるべきではない」という勧告が出され、その後日本の厚生労働省も「離乳食の前に果汁を与える必要はない」という姿勢を取るようになりました。
ただし、ミルク育児の場合、水分補給に湯冷ましを少量飲ませることは問題ないとされています。
ミルクの間隔が短くなってしまうと赤ちゃんの胃腸に負担をかけてしまいますので、気温が高く、汗をたくさんかく日などは、ミルクの合間に湯冷ましを飲ませてもOKです。
赤ちゃんがお腹いっぱいならないよう少量にすることと、嫌がる場合は無理に飲ませないことに気をつけましょう。
お姑さんにしつこくすすめられたら、どう断る?
現在育児をしているママたちにとっては「湯冷ましや果汁は特に飲ませる必要がない」というのは最早常識となっています。
しかし、お姑さん世代の女性の中には、自分たちが育児をしていた時代の情報や考え方が正しいと思い込んでいる方もいるでしょう。
そうなると、なかなか納得してもらえないばかりか、親切にアドバイスをしたのにお嫁さんに無碍に断られ、自分の時代の育児を否定されたと気を悪くしてしまうこともあるかもしれません。
そんな時は、まず湯冷ましや果汁を飲むことが赤ちゃんの体にどのような影響をもたらすのかを説明しましょう。
赤ちゃんの健康を望むのは、ママもおばあちゃんであるお姑さんも同じこと。
「今は必要ないんです」とだけ伝えるのではなく、上記にあげたように、赤ちゃんの健康に好ましくない影響があることを具体的に伝えれば、お姑さんも納得しやすいでしょう。
そして「かかりつけの先生にこう言われている」などとお医者さんの力を借りたり、最近の育児書やパンフレットなどを見せたりするのも効果的です。
また、「湯冷ましや果汁を飲ませると、母乳やミルクの飲みが悪くなってしまう」という言い方をすると説得も簡単になりますし、お姑さんを否定することにもならないのでオススメです。
ママが正しい情報を伝えてあげましょう
育児の常識とされるものの中には、昔と今とではガラリと変わっているものがあります。
離乳の準備については、まさにその「ガラリと変わった育児の常識」の代表的なもの。
母乳についての研究が進められたことや、ミルクも格段に進化して母乳に近いものとなったこと、また、離乳前の赤ちゃんに果汁を飲ませる影響についてもわかってきたことなど、数十年の間にさまざまなことが変化して、今の「生後6ヶ月頃までは母乳やミルク以外は必要ない」という流れができたのです。
育児を終えて時間がたっているお姑さんは、こうした流れを知らないことも多く、まだ未熟なお嫁さんに育児のことを教えてあげようという親切心から、昔の知識そのままに、湯冷ましや果汁を飲ませるようすすめてしまうこともあるでしょう。
その時は、ママがしっかりと最新の情報を伝えることも大切です。
赤ちゃんの健康を守るためにも、お姑さんに今の育児方法について理解してもらうようにしましょう。