まさか夫がスマホ中毒になるなんて思いもしませんでした。
私は付き合って5年、22歳の若さで夫と結婚しました。
その1年後には子供ができて絵に描いたような幸せな生活でした。当時、まだ若く、お金が無いからと同居を勧められていましたが「自分達でやりくりするから夫婦だけの生活を楽しみたい。」と同居を断っていました。
夫だけの給料で生活しなければならず非常に貧乏な生活をしていましたがこの時は夫もかなり生活に協力的で、お金が無いながら節約し、休日になると公園へ行ったり、無料の遊び場所へ行ったりして過ごしていました。
まだこの時は夫もガラケーでしたし、スマホ中毒でもなく幸せでした。
子供が1歳になるまでこの生活は続きましたが、このままでは貯金ができないことと、たまたま知人に好条件の仕事を紹介された事をきっかけに私も子供を保育園に入れて働き始めました。
私は15時までの仕事で育児、家事に追われながらも外へ出て働き、お金がもらえることや育児にも気持ちに余裕を持てることから楽しくて仕方ありませんでした。
そしてこの時期に夫も給料が良い会社に転職し、いつまでもガラケーでは嫌だと言われました。今まで貧乏な中ずっと色々と我慢してきてもらったし、そろそろお金にも余裕が出てきたので携帯くらい変えてもいいかと思い、2人ともスマホに変えたのです。
最初のきっかけは勧められたゲーム
夫がスマホを持つようになって最初の数ヶ月は以前と変わらない生活を送っていました。
しかし、職場の同僚に友人招待でポイントがもらえるからとスマホのゲームを勧められ、仕方なくダウンロードした所から生活が一変しました。
最初は「勧められたけどいまいちよく分からないんだよね~。」なんて言っていた夫。それが1ヶ月くらいするとなんとゲームにハマり始め、のめりこんでしまったのです。スマホ内はゲームと無料漫画のアプリでうめつくされ、面白いゲームが有るよと聞けばなんでもダウンロードするようになりました。
最初は「ほどほどにね。」と黙認していたのですが、段々とスマホを触る時間が長くなってきました。
- 例えば以前は帰ってくると真っ先に子供の元へ行き遊ぶのに、スマホ中毒夫は帰ってくると真っ先にスマホ。
- さらにご飯中、外食中でもスマホ。スマホをいじりながらご飯。勿論夫がスマホに夢中のために家族の会話は一切なしです。
- 子供がぐずるとスマホをいじるのにイライラするそうで「うるさい!」と怒鳴る。
- 家族でイオンやゲームセンター等に遊びに行っても子供を横目に「遊んでおいで~。」。
- 前は一緒に遊んであげていたのに泣いても「ちょっと待ってね。」と言ってスマホ。
スマホスマホスマホ…。
夜寝る時もスマホで、暗い中携帯画面の明るい光とゲーム音で子供が興奮して眠れないことも増えていきました。
この時期にゲームをするなら違う部屋で寝るように促したものの家族の時間を大事にしたいとわけの分からない理由をつけてなぜか一緒の寝室でスマホ。
スマホをいじりながら寝てしまう夫。本当にストレスで私が参ってしまいました。
スマホを辞めさせたいと決意した理由
私が「携帯辞めて話を聞いて!」と言っても舌打ちしたり、私が怒ってイライラをぶつけても全くスマホ中毒は直りませんでした。
しかし、スマホ中毒ながら私のことは良く理解してくれていたしスマホ中毒以外は本当に良い旦那さんだったので離婚は考えられませんでした。
私が目をつぶれば良いと思い、子供が5歳になるまでスマホ中毒は続きました。
子供と一緒にスマホを使用して遊んでいる姿を見るとため息と悲しさで泣いてしまうこともありました。
私がスマホを完全に辞めさせたいと決意した事件があります。
それは家族で遠出をした時のこと。この頃には夫も仕事で立場が上がり任されることも増えるようになっていました。
そのため休みが非常に少なかったのですが滅多に取れない休みがとれたことがあり、1泊2日で旅行の計画を立て出かけました。
旅行でテンションも上がり、子供も普段出かけられないのでとっても楽しみにしていました。
旅行中は夫もスマホをあまりいじらずにそれなりに家族で夢のようなひとときを過ごしました。
私も子供も夫の優しさや色々な所へ連れて行ってくれた感謝の気持ちでいっぱいだったそんな帰り道。私の余韻はこの一言で崩れてしまいました。
「やば!あと3分でイベントが始まる!!」
出ましたスマホ中毒夫!
「え??運転中だよね。まさかゲームやるの?」私は恐る恐る聞きました。
すると「当たり前だろ!運転変わって!」
そう言うとなんとウインカーを上げて道の脇に止まり、にこやかに私と運転を入れ替わろうとしているではありませんか。
運転するのはどうでも良いけど、せっかくの気分がぶち壊されるのが嫌で運転を断ると、夫はなんと子供に向かって「おい!これやって!」と携帯を渡したではありませんか。
しかしゲームのやり方がよく分からない子供は「どうやるの?」と聞きながらじゃないとできません。
それで怒り狂う夫!結局この日ゲームイベントに参加できなかったのです。コンビニに車を止め、私たちのことを延々と怒ってきた夫の目は座っていて本当に怖かったです。
私はこの時に思いました。「これじゃいけない。本物のスマホ中毒者だ。」
スマホ中毒を改善するための努力
注意作戦
まずは徹底して辞めるようしつこく話しました。スマホを持って10分位経過した時点で「時間だよ。」「辞めなよ。」としつこく言う作戦。
これはかえってイライラするようでダメで余計に酷くなりました。作戦失敗です。
感情に訴えてみる作戦
次は泣いて訴える作戦です。私は普段から気が強く滅多に泣かない女だったので、夫にしおらしく泣いて訴えてみました。
これはびっくりしていましたし「お前が泣くなんて。ごめん。これからはもっとお前と子供とも時間作るから。」と言ってはいましたが、なぜかスマホのゲームを私にも強要し一緒にゲームをして夫婦の仲を深めようとしてきました。
「興味ないからありえない!頭おかしいんじゃないの!」と言いたいのをこらえ、他に何か良い方法はないかと日々考えていました。
別居作戦
するとママ友にも同じスマホ中毒夫を持つ人がいて、別居したら直ったとのこと。
これはいいかも!と思ったのですが、どんなにスマホ中毒でもパパ大好きっ子な子供には酷なことだったので実践せずに終了。
子供ももうすぐ小学生になるし、大事な時期を迎えるのでそれまでにはなんとか辞めさせたいと焦った私。しかし中々良い方法がみつからずに日々が過ぎて行きました。
その後も、
- スマホを隠す作戦
- アプリを勝手に消す作戦
- 時間を決めてアラームを鳴らさせる作戦
- あまりに長く遊ぶ場合はどちらかの実家から電話をしてもらい正気を取り戻す作戦
実家から電話は最初は効果があったのですが、何度も電話をしてもらうのは悪いし、「いいところだったのに!」とイライラするようになり失敗に終わりました。
結果的には目には目を歯には歯を
そんな中、私も仕事で重要なポジションを任されるようになり、悪戦苦闘をしながら過ごしていました。ストレスも酷く、残業も増え保育園のお迎えも行けない事もしばしばありました。
そんな中ある時に急激に具合が悪くなり倒れてしまったのです。
病院へ行くと子宮の病気にかかっていることが分かり、ストレスから仕事は休養をせざるを得なくなってしまいました。
夫からは「今まで頑張ったからゆっくりしたら良いよ。」との温かいお言葉。私は長期休養ではなく、仕事を辞めることにしました。
仕事をやめてからも子供は年長だったので保育園を退園しなくても良いとのことで保育園へ連れて行っていました。そうすると働いていた頃に比べて時間に少し余裕が持てるようになりました。
最初は友人やママ友とも外へ出たり話をしたりしていたのですが、子宮の具合や貧血の状態が良くなく段々と外へ出られなくなってしまいました。
そこで私が日中に何をしていたか、そうスマホのゲームです。
あれだけ嫌いだったスマホのゲーム。
夫がスマホ中毒になったきっかけをつくったゲーム。
なんとなく夫があんなに面白がっているゲームがどれだけ面白いか知りたかったのです。何をやればいいか分からず、とりあえず夫が1番面白いと当時はまっていたゲームをダウンロードしてみました。
夫がスマホのゲームをバカバカしく感じた瞬間
やってみるとこれが面白い面白い!何も考えずにどんどんプレイできるので子供を送って家のことをすると後はゲームをして過ごしていました。
そこで夫がゲームにはまる気持ちが分かり、夫にもゲームの事を聞くようになりました。夫はびっくりしていましたがどこか喜んでいるようで色々と教えてくれていました。
私も初めは「夫!すごい!」と言っていましたし夫のレベルにはとても届かないペーペーでした。しかし休んでいるとどんどん退屈になってくるものです。
そんな時たまたま裏ワザでレベルが上がる方法を発見しました。そう、私はこの裏技を使用し、ゲームを始めてから数ヶ月で夫のレベルを追い越したのです。
この時の私は夫のように、まっとうにレベル上げをしている人からすると馬鹿らしいと思うほど裏技を使用しまくってレベルマックス。レアキャラゲット。逆に夫に「欲しいキャラある?」と聞くようになりました。
このことで夫はスマホゲームを馬鹿らしいと思ったようで、1番はまっていたゲームアプリを削除していました。ラインでグループを作ってのめり込んでいたゲームですが、私に越されたことで嫌になってしまったそうです。
夫がスマホ中毒から目覚めたキッカケ
それでもまだまだ他のゲームや漫画、動画を見たりすることにははまっていましたから、暇さえあればスマホを触っていました。
ゲームはとにかく私が夫を越して行くと飽きてきてしまうようでしたが、漫画や動画はそうは行きません。
特に漫画はスマホで見る前は集めるほど好きだったのでスマホで手軽に漫画を見れるようになってのめってしまったようでした。動画も同じくです。
そこで私が考えた方法は子供の育児に追われ、家事で忙しい自分をオーバーに演じながら怒らずに「面白い?楽しい?」と聞く作戦。
これが結構胸に響いたようです。
子宮が弱く体調が悪い事は知っていましたし、以前は異常に文句を言っていたので一切言わなくなれば何か変わるかなと思いたてた作戦でした。「ギャップで辞めさせろ作戦」です。
忙しそうにせかせか動き回りながら「面白い?ゆっくり休みな。」とわざと声をかけ、たまにお腹が痛いからと横になって休むふりをします。
そうするといたたまれなくなるようでスマホを辞めて「大丈夫?」と声をかけてくれるようになりました。最初はすぐにスマホをいじり直していましたが段々とスマホをいじる時間が減っていきました。
具合がわるい中、家のことを頑張っている良妻賢母な妻を演じ続けた結果、夫はあれだけ好きだったスマホを触る事自体飽きてしまったようです。
これにはかなり驚きました。あれだけスマホ中毒だった夫が辞めるなんて!
とっても嬉しかったです。
夫のスマホ中毒が収まったときを振り返って思うこと
この方法でスマホを辞めさせられるならもっと早く怒ったり文句を言ったりせずにしおらしい素敵な妻を演じていれば良かったと思います。
でもたまたま具合が悪くなったり仕事を辞めたりと、色々な事が偶然に重なったお陰でスマホ中毒を脱出できたのかなとも思います。結果オーライで良かったです。
今もスマホゲームは入っていますし、漫画アプリも入っていますが別に何も言わなくてもやめてくれますし、以前のように病気的にスマホを触るなんて事は全くありません。
子供との時間も大切にしてくれるようになりました。子供が小学校に入学したのを機に、今は子供の部活動に一緒に参加していて夢中になっています。
夫が寝ても覚めてもスマホ中毒だった頃を思うと本当に大変だったなと思います。
スマホのせいで離婚した友人もいました。
以前は「そんな人いるの?」と笑っていましたが、いざ自分がなってみてスマホで離婚も有り得る話だなと思いました。
スマホ中毒は怖いです。かなり中毒性があると思います。
私の夫はスマホを辞めるまでに6年近くかかっていますから相当長いと思うし、子供も「パパは携帯ばっかり触ってたよね。嫌だったな。」なんて言っています。今は笑い話になっていますがあのままだと笑い話ですまなかったなと思います。
スマホ中毒な夫を持っている奥さんは色々な方法を試してみることが1番だと思います。
頑張ってください。