産後に髪が大量に抜けてしまっても、ほとんどの人は数ヶ月で元の状態に戻ります。しかし、中にはそのまま抜け毛が増えてしまったり、薄くなった髪が戻らなくなったりしてしまうこともあるようです。
これらの原因はどこにあるのでしょうか。そして、長期に抜け毛が続く場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
今回は、産後の抜け毛が悪化した時のために、知っておきたいことをまとめました。
どうして元に戻らないの? 抜け毛が長引く理由
産後の抜け毛は、妊娠・出産で急激に変化するホルモンの影響で起こります。多くの場合、女性ホルモンの状態は産後1~2年かけて徐々に安定しますので、その過程で抜け毛も減少し、再び髪が生えてきます。
しかし、いつまでたっても抜け毛が多いまま、あるいは、抜けてしまったところが薄くなったままという場合は、次のような理由が考えられます。
高齢出産である
女性は、妊娠・出産を経ていなくても、30代後半からエストロゲンの減少が始まり、それにともになって薄毛になることがあります。
出産と、年齢的にエストロゲンが減少する時期が重なってしまうと、エストロゲンの分泌量が回復するまで時間がかかったり、回復しても分泌量が不足したりするため、抜け毛、薄毛が悪化しやすいのです。
産後の消耗が激しい
出産という大仕事の後、すぐにスタートする慣れない育児。体力が消耗している状態で無理をすると、回復するまでに時間がかかります。
特に30代後半で出産した場合は、若いころと比較して体力がなかなか元に戻らないため、髪を成長させるエネルギーが不足してしまうのです。
ストレスを感じている
ストレスは、血行不良を招き、自律神経やホルモンバランスに影響を与えます。
産後は何かとストレスを感じるものですが、それが原因で抜け毛や薄毛が悪化したり、元に戻りにくくなったりすることもあります。
長引く抜け毛は「産後だから」では済まないことも
産後の抜け毛は「分娩後脱毛症」と呼ばれるものですが、この分娩後脱毛症がなかなか改善しない場合は、上記のような原因から、女性特有のびまん性脱毛症へと移行している可能性も考えられます。
びまん性脱毛症は、女性ホルモンの変化やストレスなどで起こる女性特有の脱毛症で、髪が全体的に薄くなり、ボリュームがなくなるのが特徴です。
通常、びまん性脱毛症は女性ホルモンが大幅に減少する40代頃から見られることが多いのですが、出産をきっかけにしてホルモンバランスが乱れたり、ストレスがたまったりすると、産後の抜け毛が元に戻らないまま、このびまん性脱毛症を発症してしまうことがあるのです。
また、ストレスが特に大きい場合は、円形脱毛症を合わせて発症してしまうことも。円形脱毛症は、ストレスを感じやすい人や、なかなか発散できずため込んでしまう人がなりやすいと言われています。
髪が抜け続ける場合の対処法
産後の抜け毛から、びまん性脱毛症や円形脱毛症になってしまった場合には、どんな対処法が有効なのでしょうか?
1.病院での治療
長引く抜け毛が心配なら、病院で治療を受けるのが一番です。
産後の抜け毛やびまん性脱毛症など、女性ホルモンが主な原因となっている場合には、婦人科や美容皮膚科、薄毛外来などで相談して、治療法を検討してみましょう。場合によっては、飲み薬やホルモン注射などを利用することができます。
円形脱毛症が疑われる場合は、皮膚科、美容外科へ。こちらも、飲み薬や注射、またはレーザ治療などで対処してくれます。
2.女性用育毛剤の使用
抜け毛の改善には、育毛剤の使用も効果的かもしれません。栄養が届きにくくなっている髪と頭皮に、外から栄養を与えることで、髪の成長をサポートすることができます。
最近では、女性専用の育毛剤も種類が豊富になってきました。その中から、デリケートな産後でも使えるものを選んでみましょう。
ちなみに、男性用の育毛剤の中には、授乳中には使用できない成分が含まれていることがあります。家にあるものを使ってみようと、安易に考えるのは禁物です。
3.ウィッグの活用
病院での治療や、育毛剤の効果が出るまでには、時間がかかります。その間の対策として、ウィッグの活用も検討してみましょう。
ウィッグの品質は年々進化しているので、人工的な感じや、頭から浮いて見えるようなことはほぼありません。種類も、前髪や頭頂部など一部分だけに装着するタイプや、頭部全体を覆うフルタイプのものなど、とても豊富で、選ぶのも楽しくなるほど。
一時期のことと割りきって使うと、外出時のストレスも軽減できるかもしれません。
産後の女性の体は、自分が思っている以上にデリケート。ちょっとしたことが原因で、抜け毛や薄毛の回復が遅れたり、新たな脱毛症を発症してしまうこともあります。普段の生活に十分に気をつけるとともに、髪の戻りが遅いなと不安に感じたら、積極的に治療や対処を考えてみましょう。