妊娠がわかってから、赤ちゃんを産んだ後までの長い期間、女性はとてもデリケートな状態になります。夫の何気ない一言が、妻を普段以上に傷つけたり失望させたり、いらぬ怒りを買ったりするのはよくあること。
女性にとって、産前産後にされた不快なことは一生忘れられないくらい強烈なインパクトをもたらします。それだけに、この時期に夫が見せる言動は、将来の夫婦関係を左右する大事なポイントです。
そこで今回は、産前産後に起こるさまざまな出来事について、夫が余計な口出しをせず、妻に判断を任せた方が良いと思われることを10つ取り上げてみます。
妻に任せた方が上手くいく!産前産後に夫が口出しを控える10のこと
妊娠・出産という人生の一大イベントだからこそ、これからのことについては夫婦で話し合って意見を摺り合わせることが大切。しかし、実際に妊娠・出産するのは女性である妻です。
妻の気持ちを無視して夫があれこれ口を出したり、勝手に物事を決めたりすることはトラブルのもと。次の10つは特に、妻に決定を委ねた方が事がうまく運ぶと考えられる項目です。
産前産後のうかつな言動が夫婦関係にヒビを入れ、産後クライシスを招くこともありますので、ぜひ気をつけてみてくださいね。
1.妊娠を知らせるタイミングと範囲について
妊娠したといっても、ごくごく初期であれば、
- 妊娠したという実感が得られない
- 赤ちゃんは無事に育ってくれるか不安
- 安定期に入るまで喜べない
と感じることも多く、夫以外の人に妊娠を告げることを控える女性もいます。
妊娠初期は流産の心配もあるため、他の人に早く知らせてもしものことがあったら……と、どうしても考えてしまうのです。妊娠はおめでたいこと、嬉しいことではありますが、この先赤ちゃんが無事育つかどうかという不安や、妊娠生活、出産・育児への戸惑いから、手放しで喜べないのも事実。
不安が大きいこの時期は、妻をそっと見守るにとどめ、妊娠したことをいつ誰に知らせるかは、妻に決定権を委ねましょう。
たとえ自分の両親(妻にとっての舅・姑)でも、勝手に知らせるのはNG。
妊娠がわかってすぐに夫が勝手に両親に知らせたため、親戚中に妊娠が知れ渡って嫌な思いをした女性も多いものです。浮かれて先走り、誰かれ構わず知っている人に妻の妊娠を勝手に告げるようなことは絶対にやめてください。
2.里帰り出産するかしないか
どこの産院に通うか、どこで産むかについては、
- 自分の実家に里帰りできるのか
- 実家近くに里帰り出産を受け入れてくれる産院はあるのか
- 里帰りしない場合は夫婦だけで育児できるのか
- 産褥期に手伝ってくれる人はいるか
など、さまざまな問題をひとつひとつクリアにした上で決める必要があります。
産前産後の心身の状態や、新生児の育児がまだ想像もできない妊娠初期のうちに出産場所を選ぶことは、かなり悩ましいものです。
しかし、一生に一度かもしれない出産。できるだけ満足行く環境で産みたいと、妻は真剣に考えます。
そこへ、自分が出産するわけでもない夫が軽率に「里帰りすれば?」あるいは「里帰りしなくても何とかなるよ」などと他人事のように言ってしまうのは避けた方がよいでしょう。もちろん、無理やり自分の実家に里帰りさせようとするのも論外です。
夫としては、
- 里帰り出産の場合、どれくらいの頻度で妻と赤ちゃんに会いに行けるか
- 里帰り出産をしない場合、産後の妻をどれだけサポートできるか
について真剣に考え、それを妻に伝えて出産場所を決めてもらうことが望ましいでしょう。
3.出産の方法について
何度も言いますが、出産するのは夫ではなく、妻です。
出産方法には大きく分けて
- 普通分娩
- 無痛分娩
- 帝王切開
の3つがありますが、どの方法を選ぶかは、妻の希望、赤ちゃんや母体の状態によって変わります。そのどれを選ぶにしても、夫として口出しできることはありません。
世の中にはことさらに出産の痛みを美化し、無痛分娩や帝王切開を貶める人もいますが、出産はどんな形でも痛みを伴う命がけの大仕事であることに変わりはありません。自分で出産するわけでもない夫から、
- 「普通でいいじゃん」
- 「無痛分娩なんて甘えでしょ」
- 「帝王切開?楽そう」
また、妻が普通分娩を望んでいても、何らかの事情で帝王切開になることもあります。その場合でも、夫の口出しは無用。赤ちゃんと母体の安全があってこその決定であることを忘れないようにしましょう。
4.出産時の付き添い・立ち会いについて
出産時の付き添いや立ち会いは、産院によってルールが決められている場合もありますので、まずはそれに従うことが重要です。その上で、付き添いや立ち会いの有無を決めるのも、やはり妻です。
- 夫婦で出産の感動を共有したい
- 自分の母親に付き添ってもらえば安心
- 一人で集中して出産に臨みたい
など、それぞれの考え方があることでしょうが、妻の決定を最優先にして、満足いく出産を迎えられるようにしてあげましょう。
出産にあたって夫婦関係にヒビが入る原因になりやすいのは、「夫の両親が出産時に突然産院に来た」というトラブルです。
陣痛中に突然産院にやってきた義両親にびっくりし、陣痛が弱まってしまう危険な状態になったケースもたびたびあるようです。妻が嫌がる場合は、たとえ自分の両親であっても妻の許可無く産院に来ないよう、夫がしっかりと伝えてください。
5.赤ちゃんの名前を産前に公表するか
赤ちゃんの名前を考えるのは、妊娠中の楽しみでもあります。
未だ見ぬ赤ちゃんを想像しながら、どんな願いや想いを込めようかと考える時間は幸せなものですよね。そうして妊娠中に赤ちゃんの名前が決まった場合、それを夫や妻の両親に伝えておくかどうか、事前に夫婦で話し合って共通認識にしておくことをおすすめします。
その場合、夫が伝えたいと思っても、妻が産まれるまで内緒にしたいと言ったなら、それに従いましょう。早いうちに赤ちゃんの名前を両親に告げたことで、
- 「そんな名前はダメだ」
- 「私は違う名前がいいと思うけど?」
- 「漢字はこっちの方がいい」
などと余計な干渉をされるおそれもあります。
夫婦で一生懸命考えた赤ちゃんの名前に余計な口出しをされるのは嫌なものです。気にしなければいいと言われても、大切な名前のことですからどうしても気にしてストレスをためてしまうこともあるでしょう。
「うちの両親はそんなことはしない!」と夫が思っていても、孫フィーバーでついつい口出ししてしまう親も意外に多いのです。夫が独断で赤ちゃんの名前を両親に伝えることがないよう、気をつけましょう。
6.紙おむつにするか布おむつにするか
赤ちゃんが生まれてからは、1日に何十回とすることになるおむつ替え。今は紙おむつが主流ですが、昔ながらの布おむつは肌に優しく、根強い人気があります。赤ちゃんには布おむつを使ってほしいと考えている夫も、少なからずいるのではないでしょうか。
しかし、布おむつは他人から強制されて使うものではありません。
育児は夫婦2人でするものとはいえ、育児の中心となるのはやはり妻。仕事をしている夫に比べて、妻の方がおむつ替えをする機会は多いことでしょうし、もし布おむつを使うとなれば、それを洗濯して干すのも妻であることが多くなるでしょう。
ただでさえ眠れず、目の回るような忙しさで疲れもたまる新生児の育児中、布おむつの洗濯はかなりの手間です。それが苦にならないという人もいるでしょうが、そうでない人も多いもの。産後の妻に負担をかけないよう、自分の考えを押し付けるのはやめましょう。
どうしても赤ちゃんに布おむつを使ってもらいたいなら、
- 布おむつを使用するのは夫が在宅している時のみ
- 布おむつの洗濯、保管は全て夫がする
というルールを決めてみてはいかがでしょうか。
7.母乳で育てるかミルクで育てるか
実際に赤ちゃんを産んでみるまで、母乳が出るかどうか、赤ちゃんがうまく母乳を飲んでくれるかどうかはわかりません。
妻自身が母乳で育てたいと望んでいても、なかなかうまくいかずにミルクを足すこともよくあります。反対に、ミルクを飲んで欲しいのに赤ちゃんが哺乳瓶を拒否することも。こればっかりは、妻本人も先が見えないのです。
ほとんどの場合、産後すぐ~数日後に本格的に母乳を飲ませる練習が始まりますが、母乳の出や赤ちゃんの飲み方について妻が不安を抱えることも多いもの。産院でプロのアドバイスを受け、試行錯誤しながら、これから数ヶ月かけて母乳育児を軌道に乗せていくのですから、まずは妻に母乳育児を任せてあげてください。
ミルクを足すにしても、ミルクがメインになるにしても、それは妻と赤ちゃんが母乳の分泌量や赤ちゃんの体重増加などを考えながら決めることです。
自分が赤ちゃんにミルクを飲ませたいからといって「おっぱい足りないんじゃない?」などと口出しするのは厳禁。反対に、ミルクを飲ませているのに「母乳の方がいいのに」などと言うことも絶対にNGです。
母乳かミルクかは、新生児期の悩みの大きなウエイトを占めます。夫を含めた周りの人が無責任に口出しすることで、産後のデリケートな女性は深く傷ついたり悩んだりしますので、妻と赤ちゃんの健康状態に異常がない限りは黙って見守ってあげましょう。
8.母乳育児の場合の授乳回数
母乳育児の場合、新生児のうちは1日中授乳しているといっても過言ではないくらい、授乳回数が多くなるものです。
ママもまだたくさんおっぱいが出るわけではありませんし、赤ちゃんも少量を飲んですぐ寝てしまうため、育児書などには2~3時間おきの授乳などと書かれていても、その通りになることはほとんどありません。
頻繁に授乳する妻を見て、
- 「おっぱいをあげすぎているのでは?」
- 「赤ちゃんがすぐ泣くなんて母乳が足りないんだ」
- 「ミルクを足してもう少し間隔をあければいいのに」
などと思ってしまうかもしれませんが、妻自身も母乳育児はまだ手探りの状態。そして、この時期に頻回授乳をすることは、母乳の分泌を促すためにもとても重要なのです。
授乳の回数については実際におっぱいをあげる妻に任せ、余計なことは言わないようにしましょう。
9.産後はいつ夫の実家に赤ちゃんを連れて行くか
赤ちゃんの外出は1ヶ月検診が終われば少しずつ可能になりますが、月齢の低いうちは、長い時間の外出は避けた方がよいと考えられます。
また、産後の妻は、毎日慣れない育児に追われて疲れているだけでなく、産後の傷が癒えていなかったり、だるさや貧血に悩まされたりしていることもあります。そんな中、気を遣う義実家へ赤ちゃんを連れて行くのはかなりの重労働。
産後、赤ちゃんの顔を見せるために夫の実家へ行く時期を決める時は、妻と赤ちゃんの体調を第一に考え、負担なく行き来できるタイミングを見極める必要があります。
両親に早く孫の顔を見せたい気持ちはわかりますが、勝手に日時を決めるのではなく、まずは妻にいつ頃なら行けそうなのかをきちんと確認し、交通手段や移動時間、滞在中の過ごし方などを話し合いましょう。
10.赤ちゃん連れで夫の実家に行く場合、どれくらい滞在するか
夫の実家への滞在中は、勝手が違う家の中であれこれ気を遣いながら育児をこなさなければなりませんし、家事の手伝いなどがあると、妻の負担はかなり大きくなると考えられます。
産後の体調が戻らない中、慣れない義実家での慣れない育児はかなりストレスがたまります。真面目な性格の妻なら、義両親の目があるのだから、しっかり育児をしなければ、手伝いもしなければと気を張って無理をしてしまうかもしれません。
また、授乳ひとつするにしても気を遣ったり、義両親に見られたくないとストレスをためたりすることもあります。
赤ちゃんもいつもと違う環境ではぐずったり寝なくなったりしてしまうことも考えられます。そうなると妻もさらに気を遣いますし、疲れもストレスもMAXに。
夫は自分の実家だから寛いでいられるでしょうが、どんなに舅や姑が良くしてくれていても、妻にとってはやはり義理の実家。寛げませんし疲れるものです。夫の実家にどれくらい滞在するかについても、妻の希望を優先してあげましょう。
以上、産前産後に旦那が口出ししない方がよいことを10つあげてみました。
デリケートな産前産後、女性は夫にされて嫌だったこと、腹が立ったことはずっと忘れずに覚えています。それは後々の夫婦関係にも影響を及ぼしますので、妻の怒りを買わないよう、嫁に任せるポイントを覚えておきましょう。