離乳食は大体1か月単位でステップアップしていきます。ですが、
「ステップアップしたら下痢をした!」
というトラブルもよくあります。しかも、
「小児科に行ったのに全然、下痢が止まらないの!」
というケースまであります。
離乳食を進めていく過程で下痢をした場合に考えられる原因と対処法を紹介します。
胃腸炎かも?
下痢をする原因のひとつに、胃腸炎があります。細菌感染、ウイルス感染、風邪、インフルエンザなど、様々な原因で胃腸の機能が低下し、胃腸に炎症が起こって下痢をしてしまう病気です。
生後5か月を過ぎてくると母親からもらった免疫力が低下してしまって病気にかかりやすくなりますので、月齢が進むにつれて胃腸炎になる確率は高くなります。
胃腸炎の原因は離乳食ではありません。細菌やウイルスです。他の人にうつる可能性があるので注意してくださいね。
病気になった場合は、元気喪失、食欲がない、嘔吐、発熱、鼻水など下痢以外の症状も現れてきます。
下痢以外に症状が出ていたら、胃腸炎を疑って感染を広げないよう注意しながら、小児科へ行きましょう。
食中毒かも?
充分、火が通っていないものを食べさせてしまったり、調理器具が原因で食中毒になってしまうこともあります。
特に生ものは、大人は平気でも、赤ちゃんはムリ! ということがよくあります。生ものを赤ちゃんに食べさせていなくても、箸や皿を共有したり、口移しで食べさせたりすることで食中毒の原因になるものが赤ちゃんのお腹に入ってしまうことがあります。
赤ちゃんが食事をする際は、利用する食器などにも充分注意してください。
ステップアップが急すぎた?
離乳食は少しずつ固さや大きさを変えてステップアップしていきますが、そのステップアップが赤ちゃんに合っていない時も、下痢をすることがあります。
赤ちゃんは咀嚼する力や顎の力が弱く、舌の使い方や飲み込むタイミングなどが合わないことがあります。充分に咀嚼する前に飲み込んでしまったり、胃腸の中で消化酵素と充分混ざらなかったりすると、消化不良を起こして下痢をします。
離乳食は、ひとつひとつの段が高い階段ではなく、段が低くて簡単に登ることができる階段を登るイメージでステップアップしていきましょう。
例えステップアップ、練習だとしても、食材の固さを急にアップさせたり、大きな塊で食べさせたりすることは避けてください。
アレルギー反応かも?
食材に対して体がアレルギー反応を起こして下痢をすることもあります。
アレルギー反応の場合は下痢以外にも蕁麻疹、口の中の痒み、発熱、むくみ、粘膜の腫れ、痙攣など様々な症状が出てきます。
アレルギーは急激に症状が進んで命に関わることもありますので、あなどってはいけません。離乳食で新しい食材を試したり、ステップアップしていく時は必ず小児科の診療時間内に試しましょう。
そして、なにをどれくらい食べさせたか記録しておきます。そうすれば、アレルギー反応を起こした時に原因を突き止めやすくなりますよ。
アレルギーで特に注意したい食材
特定原材料
食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかになった食品のうち、特に発症数、重篤度から勘案して表示する必要性の高いもの
- えび
- かに
- 小麦
- そば
- 卵
- 乳
- 落花生
特定原材料に準ずるもの
食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかになった食品のうち、症例数や重篤な症状を呈する者の数が継続して相当数みられるが、特定原材料に比べると少ないもの
- あわび
- いか
- いくら
- オレンジ
- カシューナッツ
- キウイフルーツ
- 牛肉
- くるみ
- ごま
- さけ
- さば
- 大豆
- 鶏肉
- バナナ
- 豚肉
- まつたけ
- もも
- やまいも
- りんご
- ゼラチン
これらの食材を離乳食に利用する場合は、ほんの少しの量から食べさせるようにしましょう。アレルギー反応は食べてから15分~1時間以内くらいに症状が出ます。食べさせた後は充分、注意してください。
もし、アレルギーを疑う症状が出た場合は小児科に行きましょう。アレルギー科がある病院だと詳しくアドバイスをもらえます。
血液検査をすれば、反応する食材を知ることができます。心配な方は検査を受けておくといいですよ。
血液検査で「NG」とか「反応するけれど食べても大丈夫」といったアドバイスをもらうこともできますから、受けておくと離乳食を進めていく時の不安が減ると思います。
乳糖不耐症かも?
大人でも発症する人がいますが、日本人はかなり多くの人が乳糖不耐症とも言われています。
乳糖不耐症の人は、乳糖という糖類の一種を分解する酵素を持っていない(または、酵素の量がとても少ない)ため、乳糖を含む食べ物を食べると下痢や嘔吐をしてしまいます。
生まれつきの乳糖不耐症の場合は、母乳やミルクに含まれた乳糖に反応するので比較的早い段階で気付きます。
恒久的なものと一時的なものの違い
生まれつきの乳糖不耐症でなくても、胃腸炎などで胃腸の機能が低下して、一時的に乳糖を分解する酵素が減って乳糖不耐症になることがあります(2次性乳糖不耐症という)。
2次性乳糖不耐症の場合、急に乳糖がダメになるので驚きますよね。そして「離乳食で急に乳糖不耐症になった!」と思いがちです。
乳糖不耐症の場合、乳糖を含む食べ物を摂取しなければ下痢や嘔吐の症状はなくなります。一時的に乳糖不耐症になった場合は、胃腸の調子を整えれば酵素が復活し、乳糖を摂取しても症状が出なくなります。
乳糖不耐症の特徴
乳糖不耐症の下痢は「食事をして30~60分以内に口にしたもの全部、下痢や嘔吐で出てしまう」「下痢が酸っぱいにおいがする」という特徴があります。
牛乳・ミルク・ヨーグルト・ヤクルト・マーガリン・バターなどを離乳食に使わないようにしましょう。
加熱したり、加工すると乳糖が壊れるから摂取しても大丈夫! という人もいます。ですが加熱や加工しても乳糖はゼロになりません。
乳糖不耐症の程度によっては、ほんの少しでも乳糖があるとダメというケースもありますから注意してください。
必ず、小児科医の診断を受けて、医師の指導のもとで食べる・食べないを判断してください。
対応策1:水分補給をしっかりと!
下痢をしている時は、水分補給が欠かせません。また、ミネラル分も水分と一緒に出ていってしまうので、水だけでなくミネラル分も補給します。
手軽に補給するには、赤ちゃん用のイオン飲料が便利です。大人用のイオン飲料を飲ませる時は2~3倍に薄めて飲ませましょう。
なお、飲ませる時は水道水くらいの温度か、少し温めにして飲ませてください。冷たすぎると胃腸の温度が下がり、酵素の働きを邪魔してしまって余計に下痢になってしまいますので注意してください。
対応策2:おかゆ+ペクチン(食物繊維)を摂取しよう
下痢をしている時は、消化しやすいおかゆと胃腸の調子を整える食物繊維を摂るようにしましょう。ペクチンという食物繊維を多く含む食材が離乳食に利用し易くてお勧めです。
ニンジン、カボチャ、リンゴはペクチンを多く含む食材の代表です。茹でて潰したものをおかゆに混ぜたり、デザートに添えたりしてペクチンを摂取しましょう。
ペクチンを摂取して下痢が改善されてきたら、脂肪分が少ないタンパク質をプラスしていきます。
タンパク質は荒れた胃腸の壁を修復するのに重要な役割を果たします。豆腐、白身魚、卵の黄身などを茹でて潰したものを取り入れていきましょう。
対応策3:下痢の時のNG食材を避ける
下痢をしている時は、胃腸に負担をかける食材を避けます。次に挙げる食材はNGです。
胃腸に負担をかける食材
- 脂っこいもの:バター、生クリーム、植物油脂を多く含むもの、脂ののった魚、肉
- 豆類:消化に時間がかかるタンパク質が豊富なので避ける
- 乳製品:タンパク質や乳脂肪分が豊富で、消化に時間がかかる
- 柑橘類:オレンジ、ミカン、グレープフルーツの酸味は胃腸を刺激してしまう
- 繊維の多いもの:繊維が多いと胃腸を刺激してしまう
離乳食を食べずにいると体力が落ちてしまい、病後の回復に時間がかかってしまいます。このため、下痢をしていても胃腸に優しい離乳食を食べるようにします。
NG食材を避けて消化し易い食材を使った離乳食を食べるようにしましょう。