
生後6か月を過ぎると風邪を引いたり、熱を出すことが増えてきます。熱が出た時、離乳食は食べさせますか? 食べさせるなら、どんなものにしましょう?
熱がドンドン上がっていく時と熱がピークに達した時では、与える離乳食の考え方が若干違うのです。熱が出た時の離乳食について紹介します。
目次
熱がある時の離乳食。基本は赤ちゃんが欲しがるものを与える
熱が出た時でも赤ちゃんが元気で、母乳もミルクも離乳食も普段と変わらず飲んだり食べたりできるなら、普段の通りでも構いません。
ただ、熱が出ている時は水分・ビタミン・ミネラルがいつもより多く必要になります。特に、水分はいつも以上に気を付けて積極的に与えてください。
母乳やミルクで水分を与えてもいいですし、果物や水分多めのおかゆで与えてもOKです。赤ちゃんが元気で食欲がある場合は、いつもの離乳食に水分を意識的に加えて与えましょう。
熱がどんどん上がっていく時の離乳食
熱がどんどん上がっていく時、赤ちゃんはゾクゾクと寒気を感じたり、体が震えたり、だるさを感じたり、元気がなくなるといった不快な変化を感じています。大人と同じですね。
この時は大体、食欲がなく、ゴロゴロ寝転んだままだったり、グズグズ機嫌が悪い、抱っこのまま離れないという状態になります。
離乳食を出してもプイッと顔を背けたり、口を開けないこともしばしばです。こんな時はむりに食べさせる必要はありません。
離乳食は食べさせなくてもOKですが、水分だけは意識して摂らせてください。1回に飲む量が少ない場合はこまめに飲ませて量をかせいでください。
母乳を欲しがる場合は欲しがるだけ母乳をあげましょう。母乳以外で水分を与える時は、人肌くらいの温かさのものをあげます。
熱がピークに達した時に追加したい食べ物
熱が出ている時、体の中ではウイルスや細菌を排除するためにミネラル類・ビタミン類をどんどん消費しています。このため、ミネラル類やビタミン類の補充が必要です。
熱がピークに達したら、水分を多く飲ませるのに加えて、ミネラルやビタミンをプラスしましょう。
リンゴ、イチゴ、モモ、バナナなどの果物は水分が多くて食べやすく、ミネラル類やビタミン類も多くてお勧めです。ほんの少しずつでもいいので、口に入れてあげてください。
なお、熱が高い時は冷たいものが欲しくなりますよね。しかしキンキンに冷えた飲み物は胃腸に負担がかかり、下痢や腹痛の原因になりますので避けましょう。少し物足りないように感じるかもしれませんが、水道水くらいの冷たさにしてください。
離乳食は食欲があるならいつもどおりでもOKですが、果物をデザートに追加してください。
熱が高く、グッタリしていて何も口にできない! という時はゼリーがお勧めです。赤ちゃんにゼリーを食べさせる時は安全に飲み込めるように細かく砕いてトロトロの状態にします。
ゼリーはツルッと勢いよく喉へ入るので飲み込むのに失敗した時、気管の方へ入ってしまって息ができなくなったり、肺炎になる危険があります。
砕いたゼリーは粉薬を飲ませる時にも役立ちます。常備しておくと、急な発熱の時でも困りません。
熱が出た時のイオン飲料水はの飲ませ方
熱が出ている時、体内ではミネラル類やビタミン類がどんどん消費されています。このため、水分と一緒にミネラルやビタミンを積極的に補充していきたいものです。
ミネラルやビタミンの補充ときくと、スポーツ飲料やイオン飲料を思い浮かべると思います。赤ちゃんの場合も、発熱時はイオン飲料がとても有効です。
ただし、大人が飲んでいるイオン飲料は赤ちゃんにとって濃すぎます。2~3倍に薄めて飲ませるようにしてください。
できれば、赤ちゃん向けのイオン飲料(濃度や糖類に配慮したイオン飲料)を飲ませたいですね。
イオン飲料を普通に飲ませる他に、冷凍庫で凍らせたものをシャーベット状にして、少しずつ口に含ませるのもお勧めです。
熱が出た時のアイスクリームは要注意!
熱が出ているときに口にしやすいものといえばアイスクリームを思い浮かべる人も多いと思います。私の娘も、熱が出ると「アイス食べたい!」と言います。抗生物質など苦い薬を飲む時は、必ずといっていいほどアイスクリームをねだります。
アイスクリームはカロリーが高く、少しの量でもエネルギーを補給できますし、水分も摂れて一石二鳥! 冷たくて喉ごしもよく、いうことなし! 苦い薬を頑張って飲んだ後のご褒美にも使えるので、病気に時に欠かせない救世主! という家庭も多いと思います。
確かにその通りなのですが、残念ながらアイスクリームに含まれるタンパク質や脂質、乳糖は炭水化物よりも消化・吸収に時間がかかります。
体調を崩して胃腸の調子が低下している時に負担がかかるものを食べることになるので「アイスやヨーグルトなどの乳製品は避けるように!」という医師もいます。
アイスクリームはメリットもデメリットもありますから「絶対ダメ!」とはいえません。ただ、最終手段・緊急的な措置として考えておくといいと思います。
なお、アイスクリームといっても色々な種類があり、好みで選ぶといいのですが、ラクトアイスは避けた方がいいでしょう。ラクトアイスには植物油脂が加えられているので、アイスクリームよりも消化・吸収に時間がかかります。
アイスクリームのバニラ(混ぜ物が少なくて胃腸に負担がかかりにくいもの)がお勧めです。
熱が下がっていく時の離乳食
熱が下がり始めると子供は一気に元気になりますよね。動けなかった分を取り戻すかのように動き始めます。
熱が下がってくると食欲も徐々に出てきます。熱が下がり始めたら、体力回復のためにもエネルギー源になる離乳食を意識して食べさせましょう。
吸収しやすく、効率よくエネルギー源になるのが炭水化物です。おかゆは水分も炭水化物も簡単に摂れるのでお勧めです。いつも食べているおかゆより柔らかめにして食べさせるといいでしょう。
おかゆを嫌がる時は、うどんをだし汁と一緒に食べさせてみてください。うどんは塩っ気があるので、おかゆよりも食欲をそそります。
熱が下がり始めて食欲が出て来たら、できるだけ早く体力を回復するためにも、エネルギー源になる炭水化物を多く含んだ離乳食を準備してください。
平熱になった後、1~2日間の離乳食
熱が下がり、風邪などの症状が落ち着いて安定してくると、体は回復期に入ります。この回復期は熱が下がった後の約1~2日間をさします。
回復期には普段通りの献立・量の離乳食に戻します。慎重派のママは「もうちょっと様子を見た方がいいかな」と思いがちですが、赤ちゃんの回復力は強いですし、離乳食を控えすぎると体力がなかなか回復しなくて逆効果です。
甘えん坊で母乳大好き! に戻ってしまって離乳食を拒否! ということにもなりかねないので、離乳食を意識して食べさせるようにしましょう。
水分・エネルギー源・ミネラル類やビタミン類が必要です。熱が出ている間に消費した分を取り戻すためにも、栄養補給が欠かせません。
一度にたくさん食べられない場合は、食事の回数を増やして1日に食べる合計量を増やしてください。
もし、離乳食を嫌がって食べることを拒否するなら、離乳食の内容を少し前の段階(柔らかくて飲み込みやすいもの)に戻します。
離乳食の内容を後戻りさせることが不安に感じられるかもしれませんが、全然食べないよりは少しでも食べる方がいいです。食べやすいものを準備して、食べることを思い出してもらいましょう。
水分、ミネラル類・ビタミン類に着目して!
赤ちゃんが発熱した時の離乳食をまとめると、
- 熱には上がる時、高熱の状態、下がる時と段階があり、離乳食の考え方も違ってくる。
- 一番大切なのは水分。
- ミネラルやビタミン類もいつもより意識する。
- 少しずつちょこちょこ頻繁に食べる方法でもいいので口に入れてあげる。
- アイスやヨーグルトなどの乳製品には胃腸に負担をかけるので気をつける。緊急処置の位置づけ。
赤ちゃんが熱を出すと世話をするママも大変です。しかし、赤ちゃんの状態を細かく観察しながら状況に合った栄養素を考え、食材を選んでください。