
母乳とミルクを両方飲ませる混合栄養の場合、生後3ヶ月頃からは母乳が減ってきたような気がして悩んだり、今からでも完全母乳育児ができるだろうかと焦ったりするママが多いようです。
また、周りのママ友が完全母乳だったり完全ミルク育児だったりする場合、混合育児のすすめ方を誰にも相談できず、自分のやり方が正しいのかどうか、なかなか自信を持てないこともありますよね。
そこで今回は、混合栄養育児のすすめ方、ミルクの上手な足し方や、ここから完母に移行するためのポイントなどをご紹介していきましょう。
どうすればいい? 混合栄養のお悩みあれこれ
混合育児の場合、育児書や母乳育児に関するサイトなどで触れられる量が少なく、正しい情報がなかなか探せずに戸惑ってしまうことが多くありますよね。
以下に、多くのママが抱える生後3ヶ月からの混合栄養についての疑問やお悩みを取り上げてみますので、ぜひご参考にしてくださいね。
ミルクはどれくらいの量を足せばいいの?
赤ちゃんがママの母乳をどれくらい飲んでいるかによってミルクを足す量は違ってきますが、まずは母乳の後にミルクを30~40mlプラスすることを基本として考えてみます。この量をもとに、赤ちゃんの機嫌、授乳間隔、排泄の量と合わせて、ミルクを足す量が適切であるかどうか判断しましょう。
もしも、母乳を飲んだ後にミルクを40ml足して、1時間もせずに赤ちゃんが泣き出すことが続いたら、次の授乳ではミルクの量を50~60mlに増やして様子を見てみます。
逆に、ミルクを40ml足して授乳間隔が長くあいたり、4時間以上寝てしまったりする場合には、もっと少ない量にするといった具合に調節しましょう。
ミルクをあげたらあげただけ飲んでしまうけど、大丈夫?
赤ちゃんが飲んでいる母乳の量がはっきりとわからないだけに、作ったミルクを赤ちゃんが飲み干してしまうと「これで本当に大丈夫?」とママも心配になるものですよね。そうした場合は、赤ちゃんの体重増加を確認してみましょう。
生後3ヶ月までの赤ちゃんは、体重増加は1日あたり25~30g、または1ヶ月あたり700~1000g増加すると言われています。この範囲内で体重が増え、なおかつ出生体重の2倍程度になっていれば、ちょうどよい量の母乳やミルクが飲めていると判断して差し支えないでしょう。
これよりも大幅に体重が増えるようであれば、少しミルクの量を減らしてもいいかもしれませんね。
ミルクを飲ませたら必ず3時間はあけないとダメ?
ミルクは母乳よりも消化に時間がかかるため、母乳の後にミルクを足す、あるいはミルクだけを飲ませる場合は、その後の授乳までできれば3時間ほどは間隔をあけることが望ましいでしょう。
混合栄養でも、ミルクを足さず母乳だけを授乳する場合には、次の授乳まで3時間あけることにこだわる必要はありません。
日によって赤ちゃんが飲むミルクの量が違うので心配です
赤ちゃんの食欲は一人ひとり違いますし、ママの分泌する母乳の量も、その時々で違うかもしれません。日によって、あるいは時間帯によって、赤ちゃんがミルクをたくさん飲んだり少ししか飲まなかったりするのはよくあることです。
総合的に見て、体重増加が順調なのであれば問題はないでしょう。
ミルクをよく飲む赤ちゃん、もっと追加した方がいいの?
ミルク寄りの混合栄養の場合や、今後完全ミルク育児に移行したい場合は、赤ちゃんの体重や機嫌、排泄の量をみながら、足りないようであればミルクを増やしてあげても良いでしょう。
しかし、母乳よりの混合栄養を続けていきたい場合、あるいはこれから完母を目指したいと考える場合は、安易にミルクの量を増やすのは待った方がいいかもしれません。ミルクを増やす前に、少し時間をあけてから母乳を飲ませたり、母乳の授乳回数を増やしたりしてみましょう。
ミルクをあまり飲まないのは、母乳が出ているからだと思ってもいい?
赤ちゃんの体重が問題なく増えていて、機嫌も良く、排泄もきちんとできている場合は、おそらく十分な量の母乳を飲んでいると考えて差し支えないでしょう。
母乳の量は目に見えないだけに、ママも不安になってしまうでしょうが、まずは赤ちゃんの様子を確認して判断してみてくださいね。
体重増加がいまひとつ伸びない場合や、排泄が十分でないと感じる場合は、小児科などで相談の上、哺乳瓶のニップルやミルクの銘柄を変える、ママ以外の人に飲ませてもらうなど、赤ちゃんにミルクを上手に飲ませる工夫をすることも検討してみましょう。
完全母乳を目指したい! そのために今からできることは?
混合栄養を続けているけれど、今から完全母乳に移行したい、完母を目指したいというママはたくさんいるでしょう。
生後3ヶ月から完全母乳で育児をするためには、どんなことに気をつければいいのか、そのポイントをあげてみましょう。
母乳のみの授乳を増やす
混合栄養にはいくつかのやり方があります。たとえば、
- 毎回母乳とミルクを飲ませる
- 母乳だけを授乳し、夕方や寝る前などにミルクを飲ませる
- ミルクを多めに授乳し、母乳は含ませる程度にする
など、ママと赤ちゃんの数だけ違った方法が生まれるものです。しかし、完全母乳を目指す場合には、毎回ミルクを足すよりも、母乳のみの授乳の回数を増やすことも大切です。
母乳は、産後すぐから赤ちゃんにおっぱいを吸われる吸啜刺激によってその生産量が増えてきます。それは生後3ヶ月を過ぎても同じことですので、積極的に母乳のみの授乳回を設けることをまず心がけましょう。
夜間授乳をする
母乳をたくさん出すために必要なのが、夜間授乳です。
夜中は、母乳の生産にかかわるプロラクチンというホルモンの分泌量が昼間より増えると言われています。プロラクチンは赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらう刺激で分泌されますので、夜の授乳は母乳の量を増やすために欠かせないのです。
寝る前にミルクを飲ませると、長く寝てしまって夜の授乳がなくなることもありますが、そうした場合には母乳のみの授乳に切り替えるか、ミルクの量を減らすかして、夜に1~2回ほど授乳できるように調節すると良いかもしれませんね。
ママの栄養と休息を十分に
疲れと栄養不足は、母乳の分泌に影響を与えます。母乳の量を増やしていくためには、ママが自分の体のケアに気を遣い、十分な栄養と休息を取るようにしていかなければなりません。
赤ちゃんのお世話に追われる中でも、食事をしっかりとること、休める時には体を横にして休むこと、睡眠時間を確保することなどを心がけてくださいね。
ストレスをためない
生後3ヶ月になってもなかなか母乳の量が増えなくて焦ってしまう、ママ友はみんな完母なのに自分はいまだに混合栄養で落ち込んでしまう、など、この時期にはマイナスの感情が芽生えてしまうことも多いでしょう。
しかし、それがストレスになって、かえって母乳の分泌が滞ってしまう可能性もあります。ストレスは母乳育児の大敵ですから、ゆったりした気持ちで完母を目指したいですね。
母乳とミルクのいいとこ取りができる混合栄養のメリットに目を向けつつ、焦りや不安を上手に解消して、前向きに育児をしていきましょう。
以上、生後3ヶ月からの混合栄養育児について、そのポイントをお伝えしてきました。
混合栄養の場合は、母乳育児の悩みもミルク育児の悩みも、どちらも経験することとなる上に、そのやり方やコツがなかなかつかめずに苦労するママも多いかもしれません。
- 生後3ヶ月では母乳の後に30~40mlのミルクを足すのが基本
- 赤ちゃんの体重増加、排泄、機嫌、睡眠時間などを見ながらミルクの量を増減させる
- 完母を目指す場合は、ミルクを増やす前に母乳を飲ませる回数を増やす
- ミルクをあまり飲まなくても、赤ちゃんの体重が増えているなら母乳が足りていると考えてOK
- 体重が思うように増えず、ミルクの飲みが悪い場合は、専門家に相談を
こうした点に注意して混合栄養を続けていくとともに、母乳の量を増やしていけるよう頑張ってみましょう。生後3ヶ月からでも完母になっているママは多くいますので、希望を持ってくださいね。
また、たとえミルク中心でも、ほんのわずかでも、赤ちゃんに母乳を飲ませることには、栄養だけでなく母子の絆を育む上でとても大切な意味があります。母乳が分泌されるうちは、少しでも長く赤ちゃんに母乳をあげられるようにしていきましょう。
参考資料
病気がみえる vol.10: 産科 医療情報科学研究所
看護師・看護学生のためのレビューブック第18版 メディックメディア
はじめて出会う育児の百科 小学館
保健師さんへのインタビュー