年配の女性は、よく小さな子供や赤ちゃんに向かって「かわいそうに」と声をかけることがありますよね。
低月齢の赤ちゃんを抱えて買い物や上の子の送迎などをしていたら、見知らぬ人から突然、
「こんなに小さいのに連れ出して、かわいそうに」
と言われた経験をしたママは多いのではないでしょうか?
そこで今回は、年配の方が言いがちな「赤ちゃんかわいそう」のパターンをご紹介するとともに、なぜ「かわいそう」と言ってしまうのか、そして、ママはそれにどう対応すべきかを考えてみたいと思います。
どうして? 何でもかんでも「かわいそう」
悪いことや変わったことなどしていないのに、なぜか言われてしまう、「赤ちゃんかわいそう」という言葉。この言葉を口にするのは年配の女性が多いようですが、彼女たちは一体どんなことに対してかわいそうだと思っているのでしょうか?
私が見聞きしたさまざまな例を、ここであげてみましょう。
「母乳じゃないなんてかわいそうに」「ミルクも飲ませてもらえなくてかわいそう」
母乳が出ないことで悩んでいるママに、さらに追い打ちをかけてしまうのが、「母乳じゃなくてかわいそう」という言葉。
深く傷ついてしまうママも多いでしょう。
また、母乳育児を軌道に乗せようと頻回授乳で頑張っていたら、「ミルクを足さないなんてかわいそう」と言われたり、あるいは、完母で順調に育っていても「ミルクを飲ませないのはかわいそう」と言われたりするパターンもあります。
「風邪引いちゃって、かわいそうに」
赤ちゃんがちょっと風邪を引いたら、大げさに「かわいそう」と言われていまうこと、ありますよね。
熱を出したり咳をしていたりするのは、母親であるママから見てもかわいそうかもしれませんが、言われたママは何だか自分のせいで風邪を引かせてしまったと、責められているように感じてしまうかもしれません。
「一人っ子はかわいそう」
これは、かわいそう攻撃の代表的なパターンです。年配の方は多くのきょうだいに囲まれて育った経験をしている方が多いため、一人っ子=かわいそう、というイメージが強いのでしょうか。
ただ、きょうだいが多ければ多いで、反対に「構ってもらえなくてかわいそう」という攻撃が飛んでくることもあるようです。
「保育園に入れるなんてかわいそう」
これも根強い偏見ですが、働くママにとっては言われて嫌な言葉に違いありません。
単純に、小さな赤ちゃんがママと離れることに対して「かわいそう」と思ってしまうのでしょうが、大きなお世話ですね。
「抱っこひもを使うなんてかわいそう」
赤ちゃんを抱っこするための抱っこひもやスリング、便利なアイテムですし、今はさまざまな種類のものがありますが、これを使っているだけでなぜか「かわいそう」と言われてしまうこともあるようです。
赤ちゃんが窮屈に見えるのでしょうか?
「美味しいものが食べられなくてかわいそう」
これは、おじいちゃんおばあちゃんが孫である赤ちゃんに対して言うパターンが多いかもしれません。
赤ちゃんに食べられないものを前にして、「まだ食べられなくてかわいそうね~」なんて笑いながら言われると、きちんと順序どおりに離乳食を進めているママは、何だかカチンときてしまいますね。
なぜ「かわいそう」と言ってしまうのかを考えてみる
このように、さまざまなパターンがある「かわいそう」攻撃。それではなぜ、年配の方は「かわいそう」と言ってしまうのか、その理由をちょっと考えてみましょう。
1.自分が知らない育児のやり方に驚きや心配を感じる
育児の常識は年単位で大きく変わります。たとえ育児の経験があったとしても、現在の育児の常識や便利なアイテムについては知らないことも多いでしょう。その「知らないこと」に対して持ってしまう驚きや違和感が、「かわいそう」という言葉につながっているのかもしれません。
その当時、私はまだ妊娠も育児も経験していなかった上に、スリング自体が珍しいアイテムで、実際に使っているママも多くはありませんでした。それだけに目についたのだと思いますが、布一枚にくるまれて丸くなっている赤ちゃんを見て、
「えっ!あんなので抱っこして大丈夫なの?赤ちゃん窮屈そう」
と驚いたものです。(もちろん、口には出しませんでしたが)
今でこそ、スリングは赤ちゃんにとって安心できるアイテムだと知っていますし、実際に自分も活用してきたからこそ、その便利さがわかります。しかし、その当時は自分の知らないスリングというものに対して驚き、赤ちゃんが心配になって、つい「窮屈では?」なんていう感想を抱いてしまった覚えがあります。
赤ちゃんに「かわいそう」と言ってくる年配の方の中にも、自分がよく知らないことやものを見てビックリしてしまい、赤ちゃんを心配する気持ちから、つい「かわいそう」と言ってしまう方がいるのではないでしょうか。
2.年齢を重ねると思ったことをつい口に出してしまう
年齢が上がるにつれて、自己抑制力や理性は少しずつ低下し、柔軟性がなくなる傾向が見られると言われています。
ものごとを柔軟に考えることができなくなるため、上で書いたように自分の知らないもの、理解できないものを受け入れられなかったり、認められなかったりして、自分の常識から逸脱したものに対して驚き、不安、心配などを感じやすくなるのでしょう。
しかし、それを理性で押しとどめる力が鈍くなっているために、そのまま口に出してしまう。赤ちゃんを見て「かわいそう」と感じたら、言われたママがどう感じるか考える前に、ぽっと口から言葉が出てしまうのかもしれませんね。
3.育児に関わりたいという気持ちの裏返し
お姑さんなどがやたらと「赤ちゃんかわいそう」を連発する場合は、自分が育児に関わりたいと思う気持ちの裏返しであることも。
- 「母乳が足りなくてかわいそう」=「私がミルクを飲ませてあげたい」
- 「抱っこ紐なんてかわいそう」=「私が代わりに抱っこしてあげたい」
- 「保育園に入れるなんてかわいそう」=「私が面倒を見てあげたい」
- 「まだ〇〇が食べられなくてかわいそう」=「私が食べさせてあげたい」
など、そんな気持ちが隠れていて、自分の思う通りにならないからこそ、赤ちゃんに「かわいそう」という言葉を使うことで、ママに「赤ちゃんがかわいそうなら、姑の言うことを聞いた方がいいのかな?」と思わせようとしている可能性も、少なからずあるでしょう。
4.「自分の方が大変だった、頑張っていた」というアピール
自分がしてきた子育てに大きな自信があり、子育てを頑張った、苦労したと自負するお姑さんは、自分と違うやり方で子育てをしたり、便利なアイテムやサービスを使ったりするお嫁さんが、まるで楽をしているように見えるのかもしれません。
過去に育児をしていた自分の大変さを目の前にいるママと比較して、「私の方が大変だった!」「私の育児は正しかった!」と思いたいがために、「赤ちゃんがかわいそう」という言葉でそれをアピールしているとも考えられます。
「かわいそう」と言われたら、ママはどうすればいい?
それでは、お姑さんや見知らぬ人から「赤ちゃんかわいそう」と言われてしまったら、ママはどんな対応をすればいいのでしょうか?
年配の方が「かわいそう」と言ってくるのは、ただ単に小さな子を連れているママに話しかけたいだけであることもありますので、深く考えずに聞き流しましょう。
また、「そんなことないですよ」「どこがかわいそうなんですか?!」などと反論しても、なかなか納得してもらえなかったり、逆にお説教されたりすることもあります。
道端でバッタリ会っただけの人なら、「かわいそう」と言われても、急いでいるふりをしてその場から立ち去ってOK。失礼かもしれないなんて思う必要はありません。見ず知らずの他人にいきなり「かわいそう」なんて言ってくる方が失礼ですから、不快に思ったらそこから逃げるのが最善の策です。
「かわいそう」と言ってくるのがお姑さんなどの身内である場合、そばにいる限り何かにつけて「かわいそう」を連呼してママはうんざりしてしまいますよね。
面と向かって言い返すのは勇気がいるため、黙ってそれに耐えているママも多いかもしれません。
上記の通り、姑が「かわいそう」というのは、自分が育児に関わりたいという気持ちの裏返しである可能性もありますし、または「自分が育児をしていた頃はもっと大変だった」というアピールであることも考えられます。
そこで、たとえば
- 母乳だけで育てたい
- 保育園には◯歳から入れる
- お菓子やジュースは◯歳から
など、母親としてこれだけは譲れないという方針はしっかりと明言して守りつつ、ある程度は妥協して手伝ってもらったり、「お義母さんの時はそうだったんですね、すごいですね」などと持ち上げたりする対処法が有効でしょう。それでも、あまりにしつこく攻撃される時は「ハイハイ」とスルーして、気にしないようにしましょうね。
新米ママにとって、赤ちゃんを「かわいそう」と言われるのは少なからずショックなことですよね。
しかし、言っている本人たちはママを傷つけようと思っているわけでも、悪気があるわけでもありません。まずそこを理解して、こちらが気にし過ぎないようにするのが一番良い方法です。
ママが思うように育てることが赤ちゃんにとって一番いいに決まっていますから、他人からの「かわいそう」攻撃には耳を貸さず、「また言ってるよ~」と上手に受け流せるように、スルースキルを磨きたいですね。