嫁姑問題はなぜ起こるのでしょうか?
結婚すると決めた時、多くの女性は「夫になる人のお母さんと良い関係を築きたい」と考えるものです。
それは夫の母親である姑も同じこと。
お嫁さんを迎えるにあたっては、「お嫁さんと仲良くしたい」「娘のように接したい」と思うことでしょう。最初からお嫁さんをいびってやろうとか、お姑さんにたてついてやろうとか、そんなことを考える人はごく少数であるはずです。
しかし、それでも嫁姑問題は、どこの家庭でも大なり小なり発生してしまうもの。そして中には、嫁いびりと言われる、どう考えても理不尽な、いじめに近いことをされるお嫁さんもいます。
それは一体なぜなのでしょうか?ここでは、お姑さんとお嫁さんの関係が悪化してしまう理由を2つお伝えしましょう。
子離れできていない姑は嫁をいびる?!
嫁姑問題が発生する理由の一つに、母子一体化というものがあげられます。
20年ほど前から、核家族化や長時間労働、単身赴任、出張の機会などが増えたことが原因で、家庭において夫や父親という男性の存在や権威が希薄になりやすいことが指摘されてきました。
こうした家庭では、夫婦関係よりも、息子と母親の関係が強くなる傾向があり、母子一体化が進みやすいと言われています。
嫁姑問題に関するさまざまな相談では、よく『舅の存在感がない』というフレーズが見られますが、家庭において父親の権威が低く、夫婦関係よりも親子関係が強いこうした状態が、嫁姑問題を引き起こしていると考えられます。
母子一体化によって息子と強く結びついている母親にとってお嫁さんは、ある日突然現れて息子を奪おうとする、強力なライバルです。そのため、息子・母親(姑)・嫁の間で三角関係が発生し、嫁姑という二者の関係が悪化しやすいと考えられます。
いわゆる、子離れできていない姑がこれに当てはまります。
子離れできない母親は、息子が独立した家庭を持ったという意識がなく、息子をいつまでも子供のように扱い、干渉しすぎてしまったり、頻繁に電話や訪問を繰り返したりと、自分の思うままに息子や息子の家庭を操ろうとし、またそれが当然であると思い込んでいます。
そのため、夫婦関係を大切にしたい、姑に干渉されたくないと考えるお嫁さんとの間で、対立が生じてしまうのです。
お嫁さんと対立すると、姑は息子とのつながりが危うくなるのを心配し、息子を取られまいとして、お嫁さんに対して意地悪な言動をすることもあります。
また、「こんな息子ではなかったのに、嫁のせいで変わってしまった」と思い込み、お嫁さんのことを憎く思ってしまう姑もいるでしょう。
「自分もされてきたから」嫁いびりを経験した姑の負の連鎖
嫁姑の関係が悪化するもうひとつの理由は、過去に自分自身が嫁いびりをされた、という姑の経験に関係していることがあります。
自分が嫁として家庭に入った時、当時の姑からひどくいじめられた、理不尽なことを言われた、といった経験をした姑の場合、「自分をいじめていた姑」と「姑となった自分」を重ねあわせ、お嫁さんにも同じことをしてやりたい、あるいは、あの時自分をひどい目に合わせた姑と同じ立場になりたい、と無意識に思ってしまうのです。
「〇〇家の躾をする」と言いながらこうした嫁いびりを続けていたお姑さんでしたが、お嫁さんの不満が噴出し、離婚話にまで発展した時、実はこれらがすべて、お姑さんが結婚した時に、当時のお姑さんにされた嫁いびりそのものだったことがわかりました。
当時はお姑さんにたてつくこともできず、夫に相談しても埒が明かず、1人で我慢するしかなかったそうで、息子が結婚してお嫁さんができた時、自分もお嫁さんを躾けなければと、ついつい同じことをしてしまったのだとか。
もちろん、自分は姑にいびられてきたから、お嫁さんには同じ苦しみを味わわせてはいけないと思っている、心優しいお姑さんもたくさんいるでしょう。
しかし、中には自覚なく、かつての姑と同じことをしてしまう人もいます。自分が嫁姑問題で苦労をしたから、嫁も苦労をして当然であると考えたり、当時強い立場として自分の前に君臨していた姑と同じように、強い立場に立ちたいと考えたりするために、負の連鎖が生じてしまうのですね。
嫁姑問題は、母子一体化による息子と母親の結びつきが強すぎる関係や、過去に嫁いびりをされてきた経験から発生することもあります。
生活習慣や常識の違う他人同士がある日突然家族となることや、個人の性格だけが原因というわけではなく、もっと根本的な、長い時間をかけて積み重ねられてきた根深い家庭の問題が、嫁と姑という女性同士の関係に色濃く影響してしまうのです。