赤ちゃんに授乳している時に、急にガブッ! と噛まれてしまった経験を持つママは多いでしょう。
赤ちゃんとはいえ噛む力は意外に強いため、何の前触れもなく噛まれると涙が出るほど痛いですよね。そして、次の授乳でもまた噛まれるのかと思うと、幸せなはずの授乳タイムが少し憂鬱になってしまうかもしれません。
果たして、赤ちゃんはどうしておっぱいを噛んでしまうのでしょうか?また、噛まれないようにするためには、どうすればいいのでしょうか?
ここでは、授乳中赤ちゃんに噛まれてしまう理由とその対策、そしてできてしまった傷のケア方法についてお伝えします。
赤ちゃんがガブッとするのはこんな理由かもしれません
授乳中、赤ちゃんがママのおっぱいを噛んでしまう理由として第一に考えられるのは、歯が生え始めてくることです。
初めて歯が生えてくる時は、赤ちゃんも歯茎が痛いようなむずがゆいような、何とも言えない不快感をおぼえるようです。そのため、歯が映える時期はやたらグズったり、手当たりしだいに物を噛んだりする赤ちゃんも多いもの。
授乳中も、歯茎がムズムズしてついガブッと噛んでしまうことがあるのです。
また、歯の生え始め以外では、次のようなことも赤ちゃんがママのおっぱいを噛む理由として考えられます。
1.母乳の出がよくない
初産で、母乳の分泌がまだ軌道に乗っていない場合、赤ちゃんが吸ってもなかなか母乳が出なかったり、乳頭が固く吸いづらかったりすることがあります。
また、乳腺の詰まりがある場合も母乳の分泌が滞るため、赤ちゃんが思うように母乳を飲めず、ストレスを感じて噛んでしまうことがあります。
2.浅飲みになっている
赤ちゃんが、ママの乳輪をしっかりと覆うように深くくわえることができていないと、母乳がうまく飲めません。
そのため、赤ちゃんが母乳を飲めないことでイライラし、噛んでしまうと考えられます。この場合は、赤ちゃんに噛まれるとともに、乳頭に必要以上の力が加わってしまうことで傷ができやすくなります。
3.遊び飲みをするようになった
生後間もない頃は母乳を飲むのに一生懸命だった赤ちゃんも、母乳を短時間で上手に飲めるようになると、お腹がいっぱいになって授乳途中で遊び始めてしまいます。
その遊びの一貫として、ママのおっぱいを噛んでしまうことも。
「ガブッと噛んだらママはどんな反応をするかな?」
なんて、好奇心旺盛な赤ちゃんは考えているのかもしれません。
4.お腹が空いていない
離乳食が進んでくると、母乳を飲む量が次第に減ってきます。母乳を求めているようでも実際は違っていたり、ただ口寂しかったりするだけ、ということもあります。
おっぱいを噛んでしまうのは、赤ちゃんの「今は欲しくないよ」という意思表示である可能性も高いのです。
5.母乳の味が変わった
刺激の強い食品や脂質の多いお菓子、カフェインの入った飲み物などの影響や、生理の再開などによって、母乳の味が変わってしまうことがあります。そんな変化を、敏感な赤ちゃんは見逃しません。
母乳の質や味がいつもと違うことを、おっぱいを噛むことでママに教えてくれているのですね。
6.ママが「ながら授乳」をしている
テレビやスマホを見ながら授乳をしていると、赤ちゃんはママの興味を自分に向けさせようとしておっぱいを噛むことがあると言われています。
授乳は赤ちゃんとママの大切なコミュニケーションでもあります。ママが自分以外のものに夢中になっていることを、赤ちゃんは嫌がっているのです。
授乳中に噛まれないようにするポイントは?
授乳中に赤ちゃんに噛まれないようにするためには、上記の理由を踏まえて対策を練ることが必要です。
まず、母乳の分泌量や質をアップさせるため、ママ自身が栄養バランスや生活習慣に気をつけて、よりよい母乳を赤ちゃんに与えることができるようにしましょう。
歯が生え始める時期は、どうしても噛まれることが多くなりますが、歯固めなどをうまく活用して、赤ちゃんのムズムズや不快感を取り除いてあげましょう。
「生後6ヵ月は要チェック|歯ぐずりの理由と簡単で効果的な夜泣き対策」も、どうぞご参考にしてくださいね。
そして、ながら授乳をやめ、赤ちゃんとしっかりと向き合ってあげること、離乳食の進み具合に合わせて授乳のタイミングを考え直すことなどを、基本的な予防策として心がけてみましょう。
もしも噛まれてしまったら? 赤ちゃんにわかってもらうための方法
授乳中に赤ちゃんに噛まれて、ついつい「痛い!」と叫んでしてしまったママもいるでしょう。「ダメよ!」なんて大きな声で叱ってしまったこともあるかもしれません。
しかし、このようにママが大きな声を出すことは逆効果になりやすいと言われています。赤ちゃんにおっぱいを噛まれてしまった時には、次のような対応をしてみてください。
1.無理に赤ちゃんを引き離さず、自分の方に引き寄せる
噛まれて痛みを感じると、思わず赤ちゃんを遠ざけようとしてしまいますが、赤ちゃんが乳頭をくわえたまま引っ張ってしまうと傷ができやすくなります。
赤ちゃんを引き離すのではなく、自分の胸に抱き寄せるような形にしてみましょう。
2.赤ちゃんの鼻をつまむ、または口に指を入れる
赤ちゃんは、母乳を飲んでいる時に鼻をつままれたり、口に指を入れられたりすると、自然に口をひらきます。無理なく乳頭を離してくれますので、傷ができるのを防げるとともに、一旦授乳をストップできます。
3.低い声で「ダメ」「痛いから噛まないで」
赤ちゃんに噛まれた時、ママが大きな声を出すと、その反応を赤ちゃんが遊びだと勘違いして、ますます噛む行動がエスカレートすることがあります。
噛まれた時は叫びたくなるのをグッとこらえ、冷静に、赤ちゃんの目を見つめながら低い声で「ダメだよ」「痛いから噛まないでね」と伝えましょう。
まだ言い聞かせは通用しないと思える月齢の赤ちゃんでも、ママが真剣に、根気よく伝えるうちに、おっぱいを噛むのは良くないことだと理解できるようになります。
4.噛まれたら途中でも授乳をやめる
たとえ赤ちゃんが母乳を飲んでいる途中でも、噛まれた時点で授乳をやめてみましょう。その後はすぐに授乳を再開せず、少し時間をおいてから飲ませます。
これを繰り返すことで、赤ちゃんは「噛むと母乳が飲めなくなる」と学習し、噛むのをやめてくれるかもしれません。
赤ちゃんに噛まれて傷ができてしまった時のケア方法
赤ちゃんの噛む力は、想像以上に強いため、噛まれて乳頭に傷ができしまうこともあります。その場合は、以下のケア方法を試してみましょう。
乳頭保護器、哺乳瓶のニップルを使って授乳する
乳頭保護器や哺乳瓶のニップルは、ママの乳頭に当てることで、傷をカバーしながら授乳することができます。
ただし、赤ちゃんによっては保護器やニップルの感触を嫌がって母乳を飲まなくなってしまったり、乳頭混乱を起こしたりする可能性もあります。赤ちゃんの様子を見ながら、慎重に使いましょう。
オイルパックをする
授乳後、馬油やオリーブオイル、ワセリンなど、万が一赤ちゃんの口に入っても安心な成分のケア用品を塗り、その上からサランラップで覆ってパックをすると痛みが引くこともあるようです。細菌感染などを防ぐため、長時間パックしたままにするのは避けてくださいね。
産院で薬を処方してもらう
繰り返し赤ちゃんに噛まれていると、傷が深くなったり、なかなか治らなかったりすることもあります。
そのような場合は、産院で適切な処置を受け、薬を処方してもらいましょう。
授乳は、限られた期間しかできない赤ちゃんとママの大切なコミュニケーションです。赤ちゃんがなぜ噛んでしまうのかを理解し、上記の対策と傷のケアをご参考に、不安や憂鬱な気持ちを払拭して、幸せな授乳タイムをお過ごしください。