「赤ちゃんが泣いたら授乳しましょう」
「泣いたら授乳、を心がけましょう」
と、赤ちゃんが泣いたらそのたびに授乳をすることがすすめられています。
これは、産後間もないママが母乳を出すためにはとても大切なことではあるのですが、新生児期を過ぎた赤ちゃんにとっては、あまりいいことではありません。
それに、赤ちゃんが大泣きしている時は、授乳しようと思ってもできないことも多いもの。
今回は「泣いたら授乳じゃないの?」というギモンにお答えしたいと思います。
赤ちゃんが大泣きしている時は、空腹を感じなくなる
赤ちゃんが何らかの理由で大泣きしている時、あわてて授乳しようと思っても、泣いているあまり母乳を飲まないということがあります。
「お腹が空いているのにどうして飲まないの?」
と疑問に思うママも多いでしょうね。
興奮し過ぎてお腹いっぱい
赤ちゃんが大泣きすると交感神経のはたらきが高まり、副交感神経がのはたらきが低下します。
交感神経は、体や心をいわば戦闘モードにするもの。体のはたらきが活発になるため、心拍数や呼吸数、血圧が上がり、興奮状態になります。
そして交感神経には血糖値を上げる作用があります。血糖値が上がると、お腹が空いたと感じなくなるのです。
私たちも、緊張したり興奮したりして活動的になっている状態では、空腹感を感じにくくなりますよね。
こうした自律神経のはたらきによって、赤ちゃんは興奮して空腹を感じなくなり、母乳を受け付けなくなってしまうのです。
授乳は本当にお腹が空いているタイミングで!
母乳は、赤ちゃんに授乳することでどんどん作られるようになりますから、母乳を出すためには、まず赤ちゃんに飲んでもらうことが重要です。
しかし、だからといって「泣いたら授乳」というスタイルをずっと続けていては、赤ちゃんの生活リズムがつきません。それに、あまりにも授乳間隔が短いと今度は乳腺が休む時間がなくなってしまい、かえって母乳が作られにくくなるのです。
授乳のし過ぎは逆効果
生後1~2ヶ月すると赤ちゃんの吸う力も強くなり、一度にある程度の量を飲めるようになります。
たくさん母乳を飲めるようになったのに、赤ちゃんが泣くからといって短い間隔で授乳していると、
- お腹が減っていないのに母乳を飲むことで、お腹が苦しくて泣いてしまう
- 母乳の生産量が追いつかず、一度に少量しか飲めないのですぐにお腹が空いて泣いてしまう
といった2つのパターンに陥ります。
特に、下のパターンでは、乳腺が休まらないため母乳が出にくくなったり、一時的に足りなくなった母乳を補おうとして過剰に母乳が作られて乳腺炎になってしまう可能性もありますので注意しましょう。
本当に授乳すべきタイミングを見極めて
生後1ヶ月が過ぎたら、生活リズムを作るため、そして母乳の量を安定させるためにも、だんだんと2~4時間間隔での授乳に切り替えるように意識することが大切です。
本当にお腹が空いたタイミングで母乳を飲むことで、赤ちゃんも満足し、大泣きすることが少なくなります。
まずは赤ちゃんの興奮をリセットして落ち着かせるのも方法の一つです。赤ちゃんの体重がきちんと増えているようであれば、大泣きで一度くらい授乳のタイミングを逃したとしても、さほど問題はありません。
「泣いたら授乳」のスタイルを少しずつ治していき、赤ちゃんがお腹を空かせたタイミングに授乳ができるように心がけましょう。
赤ちゃんがぐずり始めたら、オムツが汚れていないか、ママにかまってもらいたいだけなのかなど、どうして赤ちゃんが泣いているのかをママが知る必要があります。
ママは赤ちゃんの授乳の時や普段の様子、赤ちゃんの性格などをしっかり観察するようにしましょう。そして、2~4時間間隔で授乳ができるように生活リズムを整えていきましょう。