一昔前には、妊娠中の旅行は控えるものとされていましたが、現在では「マタニティ旅行」「マタ旅」などという言葉も生まれるほど、妊娠中の旅行はメジャーなものとなりました。
しかし、妊娠中の旅行っていつ行けばいいの? そもそも行っても大丈夫? など、さまざまな疑問が浮かんできますね。
今回は、妊娠期間中に旅行に行くベストなタイミングや、旅行の際の注意点などをくわしくお伝えしていきましょう。
妊娠中の旅行について知っておきたいこと
マタニティ雑誌や旅行会社のホームページなどでは、妊娠中の旅行の特集がたびたび組まれています。
プレママにやさしい宿泊施設やプランの紹介もあり、眺めているだけで心躍るような気持ちになりますね。
しかし、妊娠中に旅行をするにあたっては、自分の体調と赤ちゃんの状態が安定していることが最低条件となります。妊娠中はいつもと違った体調になりやすく、その体調の変化がお腹の赤ちゃんの健康に結びつくこともあります。
しかも、かかりつけの産婦人科医から遠く離れた場所で体調を崩した場合、スムーズに適切な処置を受けられるとは限りません。
妊娠中の旅行自体は悪いことではありませんが、安易に旅行を計画するのではなく、リスクもあるということをまず知っておきましょう。そして、万が一の際でも自分と赤ちゃんの健康しっかり守れるよう、準備を整え、慎重に計画を立てることが大切です。
妊娠中の旅行、オススメのタイミングは?
妊娠中に旅行をするタイミングは、一般的には安定期に入ってから、つまり、妊娠5ヶ月~7ヶ月にかけてと言われています。
妊娠5ヶ月頃には、赤ちゃんに栄養を送る胎盤が完成するとともに、プレママもつわりが終わって体調が安定してきます。お腹もそれほど出ていないため、妊娠期間中でも最も過ごしやすい時期と言えるかもしれません。そのため、実際にこの時期に旅行を楽しむプレママが多いようです。
妊娠後期になるとお腹が大きくなって、いつも通りに行動できなくなることが増えてきます。また、臨月になればいつ陣痛が始まってもおかしくありませんので、旅行をするのであれば、安定期と呼ばれる時期に計画を立てることがすすめられます。
ただし、安定期というのは、流産しやすい妊娠初期と、早産しやすい妊娠後期を除いた、比較的落ち着いた時期というだけで、何をしても大丈夫な時期ではありません。
現役の産婦人科医でも「1分後には何が起こるかわからないのが妊娠」「安定期だから何も起こらないはず、というのは大きな誤解」とおっしゃる先生もいます。くれぐれも無理な旅行計画を立てることのないよう、注意しましょう。
<旅行の計画を立てる際に気をつけたいこと/h3>
さて、妊娠中の旅行の計画を立てる時には、どういったことに気をつければいいのでしょうか?
自分と赤ちゃんの体調を第一に、楽しい旅行をするために、次のようなポイントを頭に入れておきましょう。
1.ハードスケジュールは厳禁
妊娠中は、環境の変化によって体調が大きく左右されることもあります。
非妊娠時と同じようなスケジュールの旅行をするのは、とても難しいことです。長時間の移動が必要な遠い場所や、観光地をあちこち駆け足で巡るような旅行はできる限り避け、のんびり、ゆったりとくつろげるような旅を目指すことをオススメします。
2.移動中はこまめに休憩を
交通機関を使って移動する際には、こまめに休憩を取るようにしましょう。
長時間同じ姿勢で座ったまま過ごしていると、血液の流れが悪くなって血栓ができやすくなったり、お腹が張りやすくなったりしてしまいます。長い移動時間が必要な旅行の場合は、移動中の水分補給、姿勢や休憩の取り方に十分気をつけましょう。
3.母子手帳、健康保険証は忘れずに
旅行中に不測の事態が起こることも考えて、妊娠の経過が記載されている母子手帳と健康保険証は必ず携帯しましょう。
母子手帳には、妊娠中に行われた検査結果のコピーなどを挟んでおくと安心です。体調が悪くなるだけではなく、事故にあったりケガをしたりする可能性も考えて、必要な備えはしっかりしておきたいですね。
4.旅行先の産婦人科を調べておく
もしものことを考えて、旅行先にある産婦人科や救急病院などの住所と電話番号を控え、診療時間を調べておくことも重要です。
ただし、産婦人科・産科医の数が減り、救急搬送される妊婦の受け入れ体制が整っているとは言えない現在は、トラブルが起きた時にかかりつけ以外の産婦人科に駆け込んでも受け入れが難しいことも予想されます。1か所だけでなく、数か所の産婦人科をピックアップすると同時に、プレママ自身も慎重な行動を取るよう心がけてください。
妊娠中の旅行、マタ旅は、リフレッシュやストレス解消にもつながり、また妊娠期間中のよい思い出にもなります。しかし、それは体調が万全であり、プレママ自身もお腹の赤ちゃんも健康であるからこそ。
楽しいマタ旅の思い出を残すためにも、よく旅行計画を練り、体調が思わしくないのに決行したり、現地で無理な行動を取ることのないよう、十分に注意しましょう。