私には、小学2年生の長男、もうすぐ幼稚園入園の3歳の長女、生後6ヶ月になる次女の3人の子供がいます。
長男と長女は年齢が離れていたこともあり『赤ちゃん返り』で悩むようなことはなかったのですが、第2子の長女の『赤ちゃん返り』は今思い返しても「ヒエェ~!」と叫び出したくなるほど強烈な修羅場でした。
おトイレを覚えたはずなのにスーパーでおしっこされちゃったり、毎日続く『抱っこ攻撃』『ウソ泣き攻撃』などなど…
詳しい体験談はこちら→【発想の転換】赤ちゃん返りで「上の子をかまわなきゃ!」をやめて状況が好転した話
長女にふりまわされて、怒って、泣いて、落ち込んだ『赤ちゃん返り』の日々…。
けれど、その時期を乗り切った今、『赤ちゃん返り』とのうまい付き合い方がわかってきました。次はうまくやれるはず!――と思うのです。
今日は、「もしも、もう1人子供ができたら、『赤ちゃん返り』の日々をこう思いながら過ごそう!」と私が考えている、3つの心得をお話しようと思います。
心得その1 『赤ちゃん返りは上の子をかまってあげれば良くなる』をおまじない程度と思うべし!
これで『赤ちゃん返り』に悩まない!?王道の解決方法を疑おう!
『赤ちゃん返り』でママたちが育児ノイローゼになってしまう最大の原因は、
『赤ちゃん返りは上の子をかまってあげれば良くなる』
という王道の解決法があまりに有名で、その解決方法をママたちが納得した上で実践していることだと私は思っています。
私も、その王道の解決方法をもちろん試してみました。
出産直後でまだ体が弱っている時にも、必死で長女と遊んで、長女のことをできる限り優先しました。けれど、長女の『赤ちゃん返り』はまったく治っていきませんでした。
必死に長女をかまっても『赤ちゃん返り』が治らなかった時、私はどんな風に思って、育児ノイローゼになっていったのでしょうか。人にお見せできないような嫌な感情ですが、当時思っていたままを書き出してみます。
- みんなはこうすれば治るのに、この子は特別面倒な子なんだ!
- こんだけかまってるのに何が不満なの!?
- 上の子かまってもダメなら、どうすればいいの!?
- あんたがダメなの!?それとも、ママがダメなの!?
…う~ん。もっとひどいことを思っていた気もしますが、このくらいにしておきましょう。
王道の解決方法=みんながこの方法で解決している。
みんなが解決している方法で治らない我が子=この子変なんじゃない!?ダメなんじゃない!?
そんな心の図式があったような気がします。
しかも、
『赤ちゃん返りは上の子をかまってあげれば良くなる』
というのが『赤ちゃん返り』にとって一番有名かつ唯一の解決方法のようなところがあるので、この方法がうまくいかないと、すぐに追い詰められた気持ちになってしまうのだと思います。
その上、この王道の解決方法があるせいで、周囲の心配してくれる言葉でさえも、ナイフのように心に刺さってしまったりもします。
長女の『赤ちゃん返り』がひどかった頃、近所のおばあちゃんが、
「あらあら、赤ちゃん返りでお母さん大変ね~」
と言ってくれたことがありました。
その言葉を聞いて、私はさらに追い詰められました。
『赤ちゃん返り』を心配される=「長女をかまってあげてないんじゃないの?」と責められた気になる。
長女への愛情が足りていないと責められたように感じた私は、心がぐしゃぐしゃになりました。
- 「かまってるし!」
- 「あんたに何がわかるの!」
- 「これ以上どうすればいいのよ!」
そんな風に感じてしまったのは、自分自身の中でも、『赤ちゃん返り』=『長女をかまえていないダメなママ』というイメージがあって、罪悪感を抱えていたせいだと思います。
「『赤ちゃん返り』は上の子をかまったくらいじゃ、治らない!」…そう思えれば悩み半減!
『赤ちゃん返り』という現象自体を解決することはできませんが、『赤ちゃん返りの悩み』というのは、『上の子をかまえば治る!』という王道の解決方法を適当に聞き流すことで解決する部分が大きいです。
そもそも、育児に『絶対うまく行く方法』なんてありません。
『良い』と言われることをやっても、効果がなかったものは他にもいっぱいありませんか?
『赤ちゃん返り』も、そんな『うまく行かなかった思い出』の1つ。ただそれだけのことなのですが、『赤ちゃん返り』に悩んでいる最中に、自分でその考えに至るのは難しかったりします。
『全てはあなたの心しだいです』…という記事は好きではないのですが、
『赤ちゃん返り』を克服する第一歩は、「上の子をかまえば、『赤ちゃん返り』は治る!」というよく知られた王道の解決方法を疑うことだと思います。
『寝かしつけ』や『好き嫌いの治し方』の子育てアドバイスと同じように、「うちもこれでうまくいけばいいなぁ~うちの子はうまくいかないかもだけど」という『おまじない』程度の気持ちでとらえるのがベストでしょう。
「今思えば…」ですが、「上の子をかまえば、『赤ちゃん返り』は治る!」という思い込みさえしていなければ、治らないことへの苛立ち、治らない程度の愛情しか注げていない罪悪感など、『赤ちゃん返り』についての悩みの半分は存在しなかったんじゃないかとすら思います。
心得その2 『原因を取り除いてあげる育児』から、『どうしようもないことに寄り添ってあげる育児』への最初の一歩だと気づくべし!
『原因を取り除いてあげなきゃ!』と当然のように思ってしまいますが…
- 赤ちゃんが泣いたら、おむつを替えてあげる。
- 赤ちゃんが泣いたら、おっぱいを上げる。
- 機嫌が悪ければ、そろそろ眠たいのかなと寝支度をはじめる。
そんな生活を毎日毎日してきたママ。
しゃべれない赤ちゃんに耳を傾け続けて、何をして欲しいのかを汲み取り続けた日々。
立って歩いたり、自分でご飯を食べられるようになってからも、「どうやったらうまく食器を使えるかな?」と、我が子を正しい方へ導こうと悪戦苦闘してきたことでしょう。
その結果、ママは当然のように、『赤ちゃん返り』も治さなければいけないこと。治らなければおかしなことのように感じて、イラついたり焦ったりしてしまうわけですが、さて、本当にそうでしょうか?
そもそも、ママが『赤ちゃん返り』の解決方法としてあてにしている、 『赤ちゃん返りは上の子をかまってあげれば良くなる』は、育児のアドバイスとして納得して実践しているのでしょうか?
『発言力があってうるさい人のご機嫌をとっておいて、おとなしい人は後回しにさせてもらう』というのは、育児ではなく人間関係スキルでは?
『赤ちゃん返りは上の子をかまってあげれば良くなる』を納得して信じすぎていた理由は、育児アドバイスとしてではなく、女子として集団生活を生きてきた自分の経験から納得していたからだと今なら思います。
- 学校、職場、子供の幼稚園…
- 友達、先輩、先生、上司、部下、お客様、ママ友…
そういう場所で生き抜いて、人間関係を築いていく中では、『発言力がある人ともめると面倒くさい!』というのは鉄則のようなものです。
その人間関係スキルを、『赤ちゃん返り』にも知らず知らず当てはめて、色々わかっている上の子を優先していれば満足してくれるはずだと思ってしまったのです。
『赤ちゃん返り』は、一方的なお世話ではなく、人間関係のはじまり
ママと赤ちゃん2人だけの関係だと、泣いている原因、不機嫌な原因を取り除いて解決して、快適にしてあげることが可能です。
けれど、兄弟やお友達が原因で泣いたり不機嫌だったりする場合には、そうはいきません。原因を取り除いてあげるというわけにはいかないからです。
『赤ちゃん返り』は『治さなきゃいけないママの育児課題』ではなくて、『我が子がぶつかっている初めての人間関係問題』ではないでしょうか。
『赤ちゃん返り』している我が子の気持ち、ママにだって身に覚えがあるはず
治さなきゃいけない癇癪のように『赤ちゃん返り』を捉えがちですが、『赤ちゃん返り』している我が子の気持ちはママにだって覚えがあるはず。
- 自分と仲良しだと思っていた子に、自分よりも仲のいい友達ができてしまった。
- 片思いしていた男性に、恋人ができてしまった。
- 恋人に、他に好きな人ができたと振られてしまった。
大好きな相手にとっての1番でいたいのに、自分が1番ではなくなっちゃう焦りや、苛立ち。
友達だって、恋人だってショックなのに、子供にとっては全てとも言える『ママ』をとられちゃった気持ちとは、どれほど衝撃的なものでしょう。
- 「他に友達いるからいいじゃない」
- 「男なんて星の数いるから!」
そんな正論で、パッと心が晴れたことなんてありますか。
そんな正論で、パッと立ち直ったお友達とかいますか。
励ましてくれる言葉なんてまったく耳に届かずに、散々クダをまいて、うじうじ悩んで、荒れて、時間の流れとともに心を立て直していった経験というのは誰にだって大小あるのではないでしょうか。
『正しい対応をした』からと言って、スイッチを押すように単純に人の心は晴れません。もやもやして、グチグチして、ゆっくりゆっくり現状を受け入れて対応していきます。
こんだけかまってやってるんだから、ママがとられちゃうことを納得しなさいよ!…というのは、今思えば随分乱暴だったなと反省してしまいます。
自分には到底できないことを、子供には求めてしまっていたのです。
『解決』というゴールがある問題ではなくて、『寄り添う』というゴールが決まっていない問題に付き合うということ
- おむつが汚れたら、取り替えてあげる。
- お腹が空けば、ご飯をあげる。
そんな風に、我が子の問題を解決してここまでたどりついてきたわけですが、『人間関係』だけはそういうわけにはいきません。
第三者の関わることなので、我が子1人の思い通りにはいかないのです。
幼稚園、保育園、学校で、いつかお友達との関係に悩む日もくるでしょう。
失恋したり、職場で折り合いの悪い上司に当たることもあるでしょう。
ママには解決してあげることができない、自分でどうにか折り合いをつけるしかない問題というのがこれからたくさん待ち構えているのです。
『赤ちゃん返り』はそういう人間関係の悩みへの入口であり、ママが人間関係に悩む我が子の様子を、最初から最後まで見れる貴重な機会なのかもしれません。
私は『赤ちゃん返り』に苛立っていて、一歩引いて成長を見つめるということができませんでした。今になれば、もったいないことをしてしまったと思います。
ママをとる相手として下の子を邪魔者扱いしていたのに、自分の中で折り合いをつけて、下の子とママを譲りあえるようになっていく姿…
あんなにプンプンしないで、心に余裕をもって見てあげれば泣くほど感動できたかもしれません。
イジメなどは別ですが、人間関係は相手のあることなので、『どうしようもなくて、折り合いをつけるしかない』という場面はたくさんあります。
汚いおむつを取り替えるように、簡単に解決なんてできません。落ち込んだり、悩んだり、グチグチとぼやいたりして、時間をかけて答えを見つけるしかないのです。
そんな時、親は子供の悩みに寄り添って、一緒に悩んで、一緒に答えを見つけていくしかないのでしょう。
『赤ちゃん返り』は、親にとっても子にとっても、その最初の一歩目なのかもしれません。
心得その3 『赤ちゃん返り』は、省エネで対応すべし!
『赤ちゃん返り』が起こりやすい時期は、ママの体力がない時期
『赤ちゃん返り』が起こりやすい時期というのは、出産直後で体力がない上に、下の子のお世話で寝不足の時期。
この時期に、『赤ちゃん返り』を治そうと思って、上の子を必死でかまったりするのはやめちゃいましょう。
自分が疲れている中で必死に頑張ると、思い通りの結果がついてこなかった時、とんでもなくがっかりして、イライラして、子供に当たってしまいがちです。詳しい体験談はこちら→【発想の転換】赤ちゃん返りで「上の子をかまわなきゃ!」をやめて状況が好転した話
『赤ちゃん返り』が起きてしまった時は、まずは自分の体調がどういう状態なのか考えてみてください。
もしも体調が良くない時期だと判断したら、その時は『赤ちゃん返りを治そう』などと極力思わないようにしましょう。体調が悪い時に頑張ると、結果がついて来ないショックに耐えられず、それだけで欝っぽくなりがちです。
『赤ちゃん返り』は長丁場。体調が悪い時期には無理をせず、自分の体が少しでも楽になるよう心がけてください。
まとめ
- 心得その1 『赤ちゃん返りは上の子をかまってあげれば良くなる』をおまじない程度と思うべし!
- 心得その2 『原因を取り除いてあげる育児』から、『どうしようもないことに寄り添ってあげる育児』への最初の一歩だと気づくべし!
- 心得その3 『赤ちゃん返り』は、省エネで対応すべし!
『赤ちゃん返り』で悩まないための3つの心得はどうだったでしょうか?
今回は、『赤ちゃん返り』に悩まないための心構えをお話ししましたが、『赤ちゃん返り』を治すために実際に試してみてうまくいった具体的な体験談などはこちらに載せてあります。→【発想の転換】赤ちゃん返りで「上の子をかまわなきゃ!」をやめて状況が好転した話
『赤ちゃん返り』でがっつり悩んで育児ノイローゼになってしまった私の経験が、同じ悩みを持つママの気持ちを少しでも軽くできたなら嬉しく思います。