子供連れに対する視線が厳しくなっている昨今、育児中のママは常に気持ちをピンと張り詰めさせています。
外出すれば、子供が泣いたり大声をあげたりしないように注意し、電車やバスに乗る時はベビーカーが邪魔にならないように、抱っこやおんぶの子供がぐずらないようにと、とにかく気を遣いますよね。
それでも、子供が泣いてしまうと、どこからともなく
「うるさいな」
という声が聞こえてくることもあり。
ひどい時は、見ず知らずの人から
「静かにさせろ! どんな躾してるんだ!」
なんて、怒鳴られることも……。ママは、肉体的にも精神的にもヘトヘトになってしまいます。
でも、世の中はまだまだ捨てたものではありません。育児中のママや子供をあたたかい眼差しで見守ってくれる人も、たくさんいるのです。
今回は、私が育児中に、見ず知らずの人に助けられた、ほっこりエピソードをご紹介しましょう。毎日大変で、時には育児を投げ出してどこかへ行きたい! なんて思ってしまうママ、イライラして煮詰まってどうにもならないというママは、ぜひ読んでみてくださいね。
知らない人から励まされて、思わず涙が……
私の子供は、2歳違いのきょうだいです。
下の子が生まれてしばらくは、上の子のイヤイヤ期と赤ちゃん返りが重なって、非常に手がかかる状態が続きました。それでも、買い物や病院など最低限の外出はしなければなりません。
外へ出る時は、上の子にハーネスを付けた上で下の子をおんぶして行っていたのですが、ある日の買い物中、ちょっとしたキッカケで上の子のイヤイヤが爆発してしまい、スーパーの中で寝転がって手足をバタバタさせ、大声を出して暴れてしまったことがあります。
これはもう、今日の買い物は無理だ…と思い、なんとか上の子を抱えて店から出ようとしたその時、見ず知らずの女性がそっと上の子に近づいて、
「あらあら、お母さん困っちゃうわね。ほら、おばちゃんがお手てつないであげるから、一緒に立てるかな?」
と、やさしく手を差し出して、上の子を立たせてくれました。
そして、私に向かって、
「お母さん、頑張ってるわね。この時期って、本当に大変でしょ? でもね、子供が大きくなった時、必ず、ああ懐かしいなって笑って思い出すようになるのよ。今は辛いけど、過ぎれてみればあっという間だからね」
と言ってくれました。
毎日毎日、上の子のイヤイヤと下の子の夜泣きでイライラし、ストレスがたまっていた私。誰も育児の頑張りを認めてくれないし、子供と夫以外に関わる人もいないし、こんな状態がいつまで続くんだろうと鬱々としていたのですが、この女性の言葉で救われたような気がして、思わず涙が出そうになりました。
声をかけてくれるだけでも、ほっこり
特に心に残っているのは、この女性とのエピソードでしたが、その他にも、ほっこりした出来事はたくさんありました。
- 見知らぬ男性が階段でベビーカーを運ぶのを手伝ってくれたこと。
- スーパーで買い物をしていた時、レジの方が泣いている子供に「早くピッピするからね、待っててね~」と明るく声をかけてくれたこと。
- 下の子のオムツを替えようとお店のトイレへ入ろうとしたら、上の子がぐずってしまって困っていた時に、年配の女性が「ここで一緒に待っててあげるから、どうぞ行ってきて」と言って、トイレの入口近くで上の子の相手をしてくれたこと。
通りすがりに
「赤ちゃん、宝物ね。おだいじにね」
と微笑んでくれた老夫婦もいました。
下校時の小学生が、
「こんにちは! 赤ちゃんかわいいですね!」
と元気に声をかけてくれて、こちらの気持ちまで明るくなったこともあります。
ほかにも、ベビーカーを押してエレベーターに乗ろうとした時、誰かがさり気なく開ボタンを押したり、ドアを押さえていてくれたり、電車やバスで席を譲ってもらったりすることも多くありました。
見ず知らずの人に白い目で見られた、泣いている子供にうるさいと怒鳴られた、という悲しい報告も多く聞きますが、世の中には、子供やママに親切にしてくれる人、やさしい声をかけてくれる人も、大勢いるのです。
世の中は捨てたもんじゃありません!
ここ数年、なりふり構わず非常識な振る舞いをする親子連れに対して「子連れ様」などという言葉が聞かれるようになりました。その反動からか、常識的に行動する、小さな子供を持つママに対してまで、厳しい目が向けられています。
子供が外で少し泣くのも許されず、子育てには常に正解すること、成功することが求められ、ママも追い詰められているように感じることも多いのではないでしょうか。
毎日のように子供に振り回され、世間の冷たい目にさらされて、時にはママも泣きたくなってしまうこともあるでしょう。でも、世の中はまだまだ捨てたもんじゃありません。
- 子育てが一段落したからこそ、あたたかく見守ってくれる年配の方。
- 同じ境遇だからこそ、大変さや苦労をわかってくれるパパママ世代。
- そして、思いやりや正義感にあふれた学生さん。
親切であたたかい人は、周りに意外にたくさんいます。その中で子育てができるって、本当に幸せなことなのです。
こうした人達がいることを忘れず、そして、子供が大きくなった時、今度は自分が誰かに親切にできるように、いつも心に留めておきたいものですね。