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母乳は出なくても大丈夫だよ|完母へのこだわりに縛られないで

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はじめに

子供を出産する前、私は赤ちゃんを母乳で育てることが当たり前だと思っていました。

そして、自分は必ず母乳が出る、楽しく、気楽に母乳だけで育児ができる、という根拠のない思い込みを持っていました。妊婦時代の特有の、いわゆる「お花畑状態」だったこともあり、母乳については深く考えたり勉強したりすることのないまま、出産を迎えてしまったのです。

しかし、私を待っていた現実は、乳房が張らない、母乳が出ない、赤ちゃんが上手く吸えない、という散々なものでした。産後の入院中に、根拠のない思い込みと自信はもろくも崩れ去り、体重がまったく増えない赤ちゃんを前に、どうすればいいのかオロオロするばかり。

それでも何とか頑張って母乳を出そうと努力をしましたが、しだいに私は完全母乳に対するこだわりに縛り付けられていきます。母乳育児の最初のスタートで躓いた私は、それを何とか挽回しようと、完母への道をひたすら目指したのです。それが、自分にとって間違った方向だということに気が付かずに…

ここでは、私が完全母乳育児を目指して挫折し、混合栄養育児に切り替えるまでのお話をしたいと思います。

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完母へのこだわり

はじめに断っておきますが、私は完全母乳育児を否定するつもりは全くありません。

母親が母乳だけで我が子を育てるのは自然の摂理でもあり、生き物の営みとして素晴らしいことだと思っています。

しかし、世の中、完全母乳育児が上手くいく人ばかりではないですよね。どんなに頑張っても体質的に母乳が出にくい人もいますし、乳腺が細くて詰まりやすく、母乳育児をなかなか継続できないという人もいるでしょう。

そういうママたちの中には「完全母乳でなければいけない」という思い込みにとらわれて、本来赤ちゃんの成長と健康のための授乳が、完全母乳を目指すための手段に変わっている人もいるのではないかと感じます。かつての私がそうだったように。

母乳だけで育てたい、その思いは、どんなママでも同じです。

しかし、完全母乳にこだわることにどんな意味があるかと問われたら、私はそこに意味を見出すことができません。

ママが悩んで苦しんで、自分を責めて、辛い思いをして歯を食いしばりながら母乳だけで赤ちゃんを育てるよりも、ミルクを足してニコニコしながら余裕を持って育児をする方が、何倍も健康的だと、自分の経験を通して思うようになったからです。

ですから、今、完全母乳にこだわりすぎて辛い思いをしているママに、私の経験をお伝えすることが、少しでも精神的な救いになればと思います。視点を変えるだけでも楽になることはあります。

どうか完全母乳こだわりすぎないで、無用なストレスから解放されてくださいね。

出産すれば母乳が出るのは当たり前?

第一子を妊娠している最中、私は母乳について全く心配していませんでした。

自分がただ無知だったこともありますが、出産すれば母乳はざぶざぶ溢れるように出るものだとばかり思い込んでいたのです。

母乳の出をよくするために、妊娠中にできるマッサージをしたり、母乳によくない食べ物を調べる程度のことはしていましたが、まったくのん気に考えていたため、哺乳びんやミルクの準備など、何一つしていませんでした。

ところが…

うそ! 母乳が出ない?

産後1日目と2日目は、赤ちゃんが新生児室にいたので授乳することはありませんでしたが、翌日、授乳指導が始まってから、私は想像していた授乳との違いに愕然としました。

  • まず、母乳が出ない。本当に、一滴も出ません。
  • 次に、泣いている赤ちゃんに、しっかりと深く乳頭をくわえさせることができない。

赤ちゃんもママも、授乳に慣れていないので、四苦八苦です。そして、赤ちゃんは母乳を飲めないのでますます激しく泣き、時間だけがむなしく過ぎていきます。

育児雑誌などで目にした、微笑みをたたえたママと、幸せそうな表情で母乳を飲む赤ちゃんの授乳シーンは、ただの幻想であることに気が付きました。

授乳地獄の始まり

産科の授乳室では、常に何人かのママが授乳をしていて、助産師さんが様子を見ながら指導してくれるのですが、ごくごくと母乳を飲み、数十分で授乳を終えて出て行く経産婦ママをよそに、私は必死に授乳しようとして赤ちゃんに大泣きされ、母乳が出ていないのでミルクを作って飲ませ、母乳を分泌させるために搾乳をして、1時間以上も授乳室にこもっている、ということもよくありました。

  • 「こんなことがいつまで続くんだろう」
  • 「どうして母乳が出ないんだろう」

出産の疲れと痛み、そして睡眠不足の中、母乳が出ないことでますます打ちのめされ、早くも泣きたい気持ちになりながら病室と授乳室を往復する毎日でした。

これが、私の授乳地獄の始まりです。

母乳が出ないショックから、完全母乳信仰へ?

私が出産をした病院は、厳しいくらいの母乳推進というわけではありませんでした。

母乳育児をすすめながらも、
「足りない分はミルクで補いましょう。でもなるべくなら完全母乳を目指しましょうね」
という、ゆるいスタンスの産院だったため、今考えると、私もそこまで神経質になって落ち込む必要はなかったのだと思います。

しかし、母乳が出ると思い込んでいたのに、全く出なかったことは、多くのママにとって非常にショックなことです。特に私は、初産の場合、母乳が分泌されるまでに時間がかかる、ということを知らなかったため、余計にショックが大きかったのだと思います。

この大きなショックが、私が完全母乳へのこだわりでがんじがらめになった原因であったと思います。

出産直後に、母乳が出ないことで、母親として失格の烙印を押されたような気持ちになった私は、それを挽回するために、必死で完全母乳への道を探っていったのです。

お願い増えて!

産院の授乳室では、授乳前と授の後に赤ちゃんの体重をはかり、どれくらい母乳を飲んだか調べるのですが、私はいつもその数値がマイナスでした。つまり、赤ちゃんはまったく母乳を飲んでいなかったということです。

私はこの体重をはかる時間が、とても憂鬱で仕方がありませんでした。増えていればいいけれど、マイナスだったらまた母乳が出ていなかったことを再確認することになります。

そのたびに、助産師さんに

  • 「あ~、またマイナスだったね」
  • 「なかなか出ないね」

などと言われ、悲しくて病室で泣いたこともあります。

結局、退院までの間、一度も赤ちゃんの体重が増えることはありませんでした。

授乳で眠れない!

退院後、里帰り出産だった私は実家で過ごすことになりましたが、まず最初にしたのは、哺乳びんとミルクを買うことでした。

何もしなくても母乳が出ると思い込んでいた私は、ミルクの準備を全くしていなかったのです。そこで、ミルク道具一式を慌ててそろえたところで、本格的な授乳生活がスタートしました。

病院と同じように、授乳をして、ミルクを作って飲ませ、搾乳をし、哺乳びんを洗って消毒します。この工程で2時間ほどかかるため、自分の寝る時間はほとんどありません。時々は実母が手伝ってくれましたが、この時期は寝る間もなく授乳授乳のくり返しでした。

この時期は、どうしても母乳が足りなかったのでミルクを足していましたが、私は完全母乳育児にこだわるあまり、いろいろな方法を試しました。

  • 授乳は必ず母乳から行い、ミルクは最後に飲ませる。
  • 哺乳びんは、ニップルの穴が小さく、赤ちゃんが飲みにくいものを使う。
  • 母乳の分泌量を増やすため、頻回授乳や搾乳をする。
  • 自己流で母乳マッサージをし、乳管を開く。
  • 食べ物は白米と野菜を中心に、コーヒーなどは絶対に飲まない。甘いものも食べない。

などなど…

産後の疲れた目でネットや雑誌を読みあさり、どうしたら母乳が出るようになるか、必死で調べました。とにかく、母乳で育てることが正しくて、ミルクは一切使いたくない、早くミルクを捨ててしまいたい、という気持ちにすらなっていました。

なぜ完全母乳へのこだわりを捨てられなかった?

頻回授乳は、私にとって特に辛い思い出のひとつです。

私は陥没乳頭で、赤ちゃんも小さかったため、うまく授乳ができず、乳頭が傷ついて出血してしまいました。それでも、頻回授乳にして母乳の量を増やさなければ、完全母乳にはなれないと、歯を食いしばって痛みをこらえて授乳していました。

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当然、授乳による痛みや寝不足、産後のホルモンバランスの乱れによる精神的不安定など、いろいろな要因が積み重なって、相当なストレスがたまります。

しかし、それでも完全母乳へのこだわりを捨てられなかったのはなぜかというと、
「母乳だけで育てたというステータス」
が欲しかったからだと、今では思います。
「母乳をあげる自分」に価値を見出し、それを維持することが何よりも大切だと思っていたのです。

私の中で「ミルクを使ったら負け」みたいな気持ちがあったことは確かです。なぜそう思ってしまったのか、よくわからないのですが、それだけ母乳というものを神格化していたというか、絶対的なものだと捉えていたのです。

なぜミルクをあげたら負けなの?

「ミルクは悪」「ミルクをあげたら負け」という考えは、なぜ今も根強く残っているのでしょうか。

日本人は、苦労や努力をすればするほど偉い、という考え方をよくしますよね。完全母乳信仰ともいえるものは、そこから来ているのではないかと私は思います。

ママも赤ちゃんも、頑張って母乳だけで育児することがすばらしくて、ミルクに頼って楽をすることは怠慢だ、という考えが、いまだに社会全体にあるような気がします。

追い詰められていくママたち

母乳のメリットが大きく取り上げられるようになった今、産院では、当然のように母乳を飲ませるように指導されます。

母乳の量が足りなくてミルクを足す時も、「今はミルクを足しているけど、頑張って母乳だけでまかなえるようにしましょうね」というのが基本的な姿勢ではないでしょうか。

頑張れば誰でも母乳が出るようになる、という指導をされることもあります。しかし、それで母乳が出なかったら「私はダメなママだ」「私が頑張ってないから出ないんだ」と思い込んでしまうママは多いでしょう。

「母乳が出ない時はミルクでもいいんだよ」と肯定してくれる人が少ないことも、母乳育児に悩むママを追い詰める原因ではないかと感じます。

情報の偏りもひとつの原因?

雑誌やネットを見ても、母乳を出すためにどうすればいいかというテーマのサイトやブログがとても多い割に、混合栄養やミルク育児についての情報は少ないのが現実です。

母乳が足りない時はミルクを足しましょう、と言うと、「それではますます母乳が出なくなる!」と反論され、ミルクが悪者扱いされてしまうこともあります。

世間がミルクに対して持っている、ある種の嫌悪感や、母乳は出るもの、出さなければならないもの、という思い込みは、初めて授乳する新米ママにかなり影響するでしょう。だから、母乳が出なくて悩んでいるママたちはどんどん追い詰められていくし、「母乳でなければならない」という思いを強くしてしまうのではないでしょうか。

問題は「完全母乳」にこだわりすぎること

しかし、母親だからこそ母乳で育てたいと思うのは当然ですし、そこは否定されるべきではありませんよね。

問題なのは、そこから「完全母乳でなければならない」という考えに至ってしまい、赤ちゃんの成長や健康を二の次にしてしまうことです。

私も、完全母乳にこだわるあまり、赤ちゃんの健康や生活リズムのことを何も考えていませんでした。完全母乳にするために、ミルクを足さずに過ごしてみようと、赤ちゃんが泣いていても頑なにミルクを飲ませなかったこともあります。

頻回授乳による疲れと貧血で、倒れたこともあります。搾乳をしすぎて乳腺炎にもなりました。

頭の中は母乳のことでいっぱいで、かわいい我が子の成長や、仕草、笑い声なども、見ているようで見ていなかった。今考えると、もったいないことをしたと思います。

あんなにかわいい新生児の頃は二度とないのに、私に残っているのは授乳に悪戦苦闘している思い出だけなのです。

赤ちゃんが体調を崩すようなことはなかったのが幸いでしたが、中には、脱水や栄養失調など、完全母乳にこだわりすぎるあまり、赤ちゃんに深刻な影響を与えるケースもあります。

最近では、乳幼児にくる病が増加していることと、過度の母乳育児の推進が関係しているのではないかという指摘もありましたね。

完全母乳にこだわりすぎることは、ママの精神的なストレスとなるだけでなく、何よりも赤ちゃんの健康に直結していることを忘れてはならないと思います。

こちらは双子の赤ちゃんをミルクで育てたママのお話です。子供は今12歳。普通に元気。それ以上何を望むというのでしょうか?

完母の呪縛が解けた瞬間

さて、そんな私が完全母乳へのこだわりをどうして捨てられたかというと、それは夫のこんな一言がきっかけでした。

「ミルクだっていいじゃん。赤ちゃん笑ってるし。オレもミルク飲ませられるし」

どうして完全母乳になれないんだろう、完母がいい、と泣く私に、半ば呆れていた夫が言ったこの言葉で、私の中の完全母乳へのこだわりが、するすると解けていきました。

私は一体何のために授乳をしているんだろう、とこの時ハッと気付かされたのです。

授乳は誰のためにするのか?という気付き

授乳は、赤ちゃんを健康に育て、大きく成長させるため手段です。ママがステータスや満足感を得るためのものではありません。

赤ちゃんが育つなら、母乳でもミルクでもいいじゃない!
夫にもミルクを飲ませてもらえるし!

どうして今までこんな簡単な事に気が付かなかったのでしょうか。

完全母乳にこだわりすぎて、いつもイライラしている母親より、ニコニコしてミルクを飲ませる母親の方が、赤ちゃんにとってもいいに決まっています。そう思ったら、大げさでも何でもなく、目の前がパーッと開けていくような気分でした。

こうして、身近な人から「ミルクでもいい」と言ってもらえることが、私にとっては一番の安心とストレス解消になったのかな、と思います。

そこから、私は憑き物が落ちたように落ち着きを取り戻し、混合栄養で育児をすすめました。

母乳の量も安定し、生後3か月くらいからは、日中は母乳のみ、夕方と就寝前にミルクを足し、夜間はまた母乳のみにする、というリズムができあがりました。赤ちゃんの体重が増えて、飲み方が上手くなったこともあり、乳頭に傷ができることもなく、授乳がとても楽しくなりました。

夫には感謝しています。私を完全母乳信仰から救ってくれたのですから。

夫のあの言葉がなければ、私はずっと辛い思いをしながら授乳を続け、身も心もボロボロになっていたかもしれません。

おわりに

よく「完全母乳で頑張っています」と口にするママがいます。頑張るのは素晴らしいことですが、私はそれにどうしても引っかかりを覚えてしまうのです。

じゃあ、混合栄養やミルク育児の人は頑張っていないの?なんて、ひねくれた受け取り方をしてしまうのは、私が混合栄養だったからなのでしょうか。

しかし、本来、授乳とは頑張ってするものではないと思うのです。母乳が出るから飲ませる、出なかったらミルクを使う。ただそれだけのことなんですよね。

どちらか一方を否定したり、過信したり、自分と違うやり方のママを攻撃したり羨んだりするのは、何か違うような気がします。

産後間もないママにとって、授乳というものはとても大きな悩みで、さも赤ちゃんの一生に関わる大問題だと思い込んでしまいがちです。

私も、今となってはなぜあんなに完全母乳にこだわっていたのか不思議なのですが、当時は気持ちを切り替えるということができませんでした。それほど、母乳というものはママにとって特別なものなのかもしれません。

でも、3歳くらいになって、幼稚園や保育園に行くようになれば、母乳がどうとかミルクがどうなんていう話は、誰もしないのです。

完全母乳で育った子も、混合栄養の子も、ミルク育児の子も、全く関係なくなります。生まれてからたった1~2年のことで、心が壊れるほど悩むことはありません。ママと赤ちゃんが健康で、元気に笑っていられるなら、母乳だろうがミルクだろうが、どっちでもいいのです。だから、どうか悩まずに、自分と赤ちゃんが一番いいと思う方法を選んでください。

赤ちゃんにとっての一番の栄養は、ママの笑顔なのですから。

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