第一子の場合、離乳食を作るのは大抵、初めてですよね。本から得た知識や、人に聞いた情報から独学で進めていくことになります。
当然「間違えた!」「失敗した!」と思うことがありますし、あって当然です。離乳食を間違えた時のデメリットや修正方法を紹介します。
離乳食の7つの鉄則
離乳食の進め方は赤ちゃんに合わせますから、教科書通りにならないことがよくあります。ですから、間違えた! と感じること自体がナンセンスなこともよくあります。
育児書が正しいのではなく、赤ちゃんの反応が正しいので、強引に育児書に合わせようとしないでください。ただし、次の7つの鉄則は守るようにしましょう。
1.赤ちゃんの準備ができてからスタート
離乳食は生後5カ月頃からスタートと言われますが、5カ月を過ぎたらみんな一斉にスタート! ではありません。
- 首がすわっている
- 支えてあげれば座っていられる
- おもちゃや手を口に入れたり、舐めたりしている
- 親が食べている様子を見て口を動かしたり、欲しがったりする
このような様子が見られれば、赤ちゃんの心と体が離乳食をスタートできる状態になった目安です。
生まれるのが予定日よりもずっと早かった子や、予定通りでも小さく産まれてきた子の場合は、生後5カ月になっても心や体の準備ができていないことがあります。
そのような場合は焦らず赤ちゃんの様子を見てスタートを生後6カ月などにしても大丈夫です。
2.液体ノリ状のお粥からスタート
離乳食は「とにかく頑張れ!」という進め方はNGです。
「少しずつチャレンジして、できなかったら次、頑張ろう」という軽い気持ちで進めていきます。
最初は十倍粥をすり潰して作った、液体のりのような重湯からスタートです。胃腸に負担をかけにくい炭水化物を液状にした離乳食から始めます。
パンも炭水化物で主食になりますが、小麦粉や卵のアレルギーの不安があるので、まず、お米からスタートしましょう。
3.調味料は使わない
離乳食スタート時は原則として調味料を使いません。味気ないと感じてしまいますが赤ちゃんの舌はとても敏感です。また、甘味・旨味・塩味は生まれつき感じ取ることができますので薄味でも平気です。
調味料には多くの塩分が含まれていることが多く、塩は赤ちゃんの胃腸に大きな負担を掛けてしまいます。このため、離乳食に調味料は使わないようにしましょう。
離乳食が進んで調味料を使う場合でも、大人の味付けよりも薄い味付けが鉄則です。
4.加熱した物を食べさせる
赤ちゃんには生の食材はNGです! 必ず加熱したものを食べさせましょう。果物も最初は熱を通したものから食べさせてください。
自然界には沢山の菌やウイルスが存在していて、生の食材には菌やウイルスがついている可能性があります。
食中毒やウイルス性の感染症などの危険があるので、必ず熱を加えて菌やウイルスを死滅させましょう。
赤ちゃんは病気に対する抵抗力が低かったり、体力がありません。感染すると重症化しやすいので注意してください。
5.タンパク質は胃腸に負担をかけないものから
離乳食はまず、お米など、炭水化物からスタートします。次に、カボチャやカブなど、野菜類に進みます。
最後にタンパク質をプラスしていきますが、いきなり肉を使ったりせず、大豆製品や白身魚から慣らしましょう。
肉類は噛み切ること、歯ですり潰すこと、口の中でまとめて飲み込むこと、この3つができなければ食べられません。
また、タンパク質の代表ともいえる卵はアレルギーの心配があるので最初から使うのは絶対に避けましょう。
6.固さを変える時は少量ずつ変える
離乳食は非常に柔らかな物から始めますが、噛む練習が必要なので固い物へ変更していきます。ですが、急に固い物へ全てを変更することはしません。
なかなか嫌がって食べないことも多いので、柔らかいものと、少し固い物の両方を出し、少しずつ食べられるようにしていきます。
7.新しい食材は小児科が開いている時間に
離乳食にはいろんな食材を使いますが、初めて食べさせる食材は午前中の離乳食の時に使います。
これは食べた後にアレルギー症状が出たり、胃腸の不調が見られたりした時に小児科へ行くためです。
休診日や診察時間が終わった後に症状が出ると大変ですから、必ず午前中の離乳食の時間を選んでください。
なお、休診日が異なる複数の小児科をチェックしておくと安心ですね。
離乳食で失敗しやすい3つのこと
離乳食では、次の3つが失敗の代表ではないでしょうか。
1.柔らかすぎたり、固すぎたり、固さが赤ちゃんに合っていない
もう、慣れている柔らかい食材ばかりを与え、固いものを食べられるようにステップアップしていっていない。こうした失敗はよくあります。
口に取り込むこと、飲み込むこと、口を動かすことができてきたら、少しずつ固さを変えていきます。
生後5~6カ月のスタート時は、重湯(液体のり状)です。慣れて来たら、プレーンヨーグルト→絹ごし豆腐→木綿豆腐→バナナ→柔らかな肉団子くらいの柔らかさに変えていきます。
1歳~1歳半で離乳食を完了にしますから、半年~1年ほど掛けて固さを変えていきましょう。
2.NG食材を使っている
赤ちゃんには食べさせてはいけない食材があります。
それを離乳食に使ってしまったり、赤ちゃんの手が届くところに親用の料理や食材を置いていたため、赤ちゃんが口にすることもよくあることです。
- 生の食材(刺身や自家製のスムージーは、食中毒やボツリヌス菌の危険あり)
- ハチミツや黒糖(ボツリヌス菌に感染する危険あり)
- 味付けのりやおしゃぶり昆布(塩分が多すぎる)
- ゴマやナッツ類(誤って気管に入る危険あり)
- ゼラチン(アレルギーの心配があるので、1歳までは寒天を使う)
- こんにゃく(かみ切れず、喉に詰まる危険あり)
- 漬け物(塩分や添加物が多い)
- マヨネーズ(アレルギーの原因になりやすい卵が使われていて、脂肪分が非常に多い)
- ミネラルウォーター(ミネラル分が多い水は体に負担になる)
- 牛乳(加熱して料理に使うか、1歳まで飲ませない)
こうした身近な食材には特に注意しましょう。
3.直ぐにお菓子を与えてしまう
離乳食をスタートさせてやりがちなのが、お菓子を与えることです。
赤ちゃんが大きくなってきて外出する機会が増えたり、祖父母などが関わりやすくなることも要因のひとつです。
「お菓子だったら食べるから」「楽に食べる練習ができる」と安易にお菓子を与えることがあります。
[talk words='確かにお菓子は赤ちゃんがよく食べてくれます。私の娘も、夫が酒を飲む時に食べていたせんべいが非常に好きでした。' name='食育アドバイザー' align='l' avatarimg='http://babynet.jp/wp-content/uploads/imgs/474363.png' avatarsize='' avatarshape='2' avatarbdwidth='' avatarbdcolor='' avataricon='' color='#3a93c6' bgcolor='#d9edf7' bdcolor='#0d94ec' bdstyle='' class='' style='']離乳食は、ただ単に食べる練習をするのではなく、食べることを通して心の成長を促すことも目的に入っています。
色々な食材に触れ、様々な素材の味を経験し、多種多様な食感や触感で脳を刺激することが大切です。
お菓子はいつからでも食べさせられます。できるだけお菓子は利用せずに離乳食を進めていきましょう。
離乳食の進め方が間違っている、と気付く時
離乳食の進め方が間違っていた! と気付くのは、次のような状況だと思います。
赤ちゃんが食べない
離乳食の固さが合っていないと、赤ちゃんが食べなかったり、吐き出したりすることがよくあります。
食べていたのに急に食べなくなった、といった場合、固さを変えてあげると再び食べるようになったりします。また、固さの変化で食欲が出ることも!
赤ちゃんが食べない時は、固さが合っていない可能性を考えてみてください。
赤ちゃんが体調を崩した
離乳食を食べた赤ちゃんが体調を崩したことで失敗に気付くことがあります。
胃腸に強い負担を掛けてしまって下痢や嘔吐の症状が出たり、アレルギー反応が出たら、必ず小児科へ掛かり、離乳食の内容を必ず見直しましょう。
また、食中毒の症状だったり、ボツリヌス菌などの感染症の症状が出る酷いケースもあります。
気付かないうちにNG食材を口にしていることもあるので、注意してください。
[talk words='私は長女にパン粥を食べさせてアレルギー反応が出ました。食べさせた後で、市販の食パンに卵が含まれていることに気付きました。' name='食育アドバイザー' align='l' avatarimg='http://babynet.jp/wp-content/uploads/imgs/474363.png' avatarsize='' avatarshape='2' avatarbdwidth='' avatarbdcolor='' avataricon='' color='#3a93c6' bgcolor='#d9edf7' bdcolor='#0d94ec' bdstyle='' class='' style='']パン粥は離乳食初期に作って食べさせるものですが、市販のパンには卵や卵由来の材料が含まれていますから注意してください。
他の赤ちゃんの離乳食を見て気付く
外へ出る機会が増えると、同じくらいの赤ちゃんに出会うことも増えてきます。そして、その赤ちゃんが食べている離乳食を見て「うちと違う!」とショックを受けることがあります。
決して、それで焦る必要はありませんが「柔らかすぎたかも?」「少なすぎたかも?」と考え直して内容を変えてみるのもステップアップのきっかけになります。
比較し過ぎると、過剰に悩んでしまうので参考程度に捉え、気付くきっかけにするといいですね。
市販の離乳食を買って気付く
赤ちゃんの月齢に合った市販品を買って「え? こんな離乳食なの?」と驚くママも居ます。
市販品が正しい離乳食という訳ではありませんが、参考にすることができます。時々、買ってみて、実際に使う食材や、固さ、トロトロ具合などをチェックしてみましょう。
少し肩の力を抜いて楽をするのと同時に、月齢別の離乳食を見て固さの違いを見てみるのもいいですね。
進め方を間違えた時のデメリットと修正方法
実際に離乳食の進め方を間違えてしまった時、デメリットはあるのでしょうか?
[talk words='実は、それほど深刻なデメリットはありませんし、気付いた所で方針を修正していけばOKです。なにより、赤ちゃんに合わせて進めていくので、急激に変化させる方がデメリットです。' name='食育アドバイザー' align='l' avatarimg='http://babynet.jp/wp-content/uploads/imgs/474363.png' avatarsize='' avatarshape='2' avatarbdwidth='' avatarbdcolor='' avataricon='' color='#3a93c6' bgcolor='#d9edf7' bdcolor='#0d94ec' bdstyle='' class='' style='']柔らかすぎるものばかり顎を使えない子になってしまった?
そんなことはありません。気付いた時に少しずつ固さを変え、顎を使う食材を練習させれば大丈夫です。
例え、遅くなったとしても、ちゃんと練習すれば噛んで食べられる子になります。
柔らかいものと一緒に一品、違う固さの物を出してみたり、デザートにバナナやチーズなどを出して意欲的に食べる物で少し固めの物を出すといった工夫をして顎を使うように誘導していきましょう。
柔らかい物ばかりで水分ばかり取らせ、カロリーが足りなかった?
離乳食を始めて体重がどんどん減ってしまっているなら大変なことですが、体重が増えているなら深刻に捉える必要はありません。
気付いた時に水分を減らしていき、徐々に慣れさせていきましょう。
カロリー不足が気になるなら、間食(軽食のようなもの)を追加するなど、食べる回数を増やしていけばOKです。
下痢や便秘になってしまった
この場合は直ぐに離乳食の内容を見直しましょう。
胃腸に強い負担が掛かっていたり、水分不足で便秘になっている可能性があります。離乳食の内容を記録し、改善点を見付けましょう。
離乳食を変えても改善しない場合は、小児科や保健師に相談してください。
なお、食中毒や感染症でも下痢になることがあるので、症状が続く場合は必ず小児科で検査を受けましょう。
アレルギー症状が出た
食べた後、10分~1時間以内に、口の周りが赤く腫れる、ブツブツと蕁麻疹が出る、舌が腫れたり、嘔吐といった症状が出る場合はアレルギーの可能性があります。
初めての食材を食べさせた時は、必ず赤ちゃんの体調に注意しましょう。
[talk words='もし、アレルギーの症状が出たら状況を写真や動画に収め、アレルギー科がある小児科へ行きましょう。時間が経つと消えてしまう症状もあるので、必ず写真や動画で記録してください。' name='食育アドバイザー' align='l' avatarimg='http://babynet.jp/wp-content/uploads/imgs/474363.png' avatarsize='' avatarshape='2' avatarbdwidth='' avatarbdcolor='' avataricon='' color='#3a93c6' bgcolor='#d9edf7' bdcolor='#0d94ec' bdstyle='' class='' style='']血液検査を受けると、どういう食材にアレルギー反応を示すのか分かります。
多くの食材については、成長と共に食べられるようになります。ずっと除去し続けないといけないケースは少ないので、医師と相談しながら食材を増やすようにします。
私の娘も、2歳を過ぎた頃には何も除去せずに食事ができるようになりました。血液検査をすると卵白には反応していますが、除去しなくてもいい、という状態です。
注意しつつ、慎重になりすぎないようにしながら、離乳食を進めていきましょう。
感染症の症状が出た
ハチミツ入りのヨーグルトやスムージーを与えたことで、赤ちゃんが乳児ボツリヌス症になって死亡するというショッキングな事件が過去にありました。
明らかに体調不良に陥っている場合は、直ぐに小児科へいきましょう。夜なら救急外来に行きます。
ボツリヌス菌は加熱しても死滅しませんし、酸素がない状況でも活動できます。赤ちゃんがボツリヌス菌を食べ物と一緒に摂ってしまうと、腸の中でボツリヌス菌が爆発的に増え、毒素を大量に出します。
しかも、治療して治った後でも数か月間、ボツリヌス菌が便と一緒に排出し続けることがあります。治った後もオムツの処理やママの手洗いといった衛生管理を徹底しなければ、感染を広げる危険があります。
ボツリヌス菌以外にも、生の食材から食中毒の原因になる細菌やウイルスに感染する危険もあります。
NG食材や生の食材には十分、注意しましょう。そして「いつもと違うな」と感じた時は小児科に掛かるようにしましょう。
離乳食の記録を付け、内容と固さをチェックしよう
離乳食は、できれば毎日、何時にどんなものを食べたのか記録していきましょう。
理想的なのは、日付、写真+献立+食材、食べたかどうかのメモ、体温、便の様子を日記帳などに書き記しておくことです。
写真を撮っておくと、なんとなく見た目で柔らかさも分かります。進め方に悩んだ時、記録を見返すことで「そろそろ柔らかさを変えてもいいかも?」と気付いたり、体調を崩した時の原因究明に役立ったりします。
離乳食は失敗した! と感じても直ぐ修正が可能ですし、赤ちゃんに合わせて進めていくものなので、深刻に考えすぎないようにしてください。
ただ、体調の異変に繋がる失敗はできるだけ避けるよう注意してくださいね。