発達に遅れや障害がある子供の親として「友達を作ることができるのか?」心配ですよね。幼稚園や保育園、小学校、中学校、ずっとひとりぼっち。親しく話をしたり、一緒に遊んだり、悲しい時に励まし合う仲の友達がいないなんて悲しい! 親として心配になるのは当然です。
発達に遅れがある子供は友達を作ることができるのか、自分の娘を見ながら考えてみました。
友達ができるかどうか、というのは、障害の程度による
私の娘は、2歳頃から言葉の発達に遅れが見られ、コミュニケーション能力に問題があります。そんな娘を見ていると、友達ができるかどうかは「障害の程度」と「障害からくる二次的な問題」によって異なると感じます。
発達障害の程度
- 自分と他人を区別して認識できない
- 人と目を合わせず、他人に感心を持たない
- 複数の身体的な障害により、集団に入って生活することができない
こうした場合は、本人の意志で友達を作ることは難しいですよね。傍で介助する大人にも障害に対する理解や知識がなければ関係を築くことは難しいでしょう。
障害からくる二次的な問題
- 障害を理由にイジメを受けた
- 周囲が障害児を避ける
- 障害が理由で、集団の中で生活しづらい「生きづらさ」などを本人が感じて引き籠もる
障害自体ではなく、そこから発生する二次的な問題も友達作りに関係してくると感じます。私の娘は2歳の時に保育士から精神的な虐待を受けていました。このため、暫くは人に近付こうとしたり、親しい人以外に甘えるようなことはありませんでした。
また、娘のことを遠巻きに見てクスクスと笑うような子もいます。このようなことが続くと本人が傷付き、友達を作ろうという気にならないでしょう。
本人の障害の度合いを把握すること、障害からくる二次的な問題をできるだけサポートすること、周囲の理解。この3つの課題をクリアできれば、発達に遅れがある子供でも友達を作ることはできると思います。
どんな子供と友達になれる?
娘は言葉の発達が遅れていて、相手が言っていることを理解できていなかったり、自分の意志を伝えるのが下手だったり、相手の気持ちを汲み取って行動することができません。それでも仲のいい友達がいます。
娘の行動や反応、友達を見ていると次のような特徴があります。
- 一緒に遊べるのは、指示によく従ってくれる年下の子
- 姉御肌だったり、リーダー的な存在で人を引っ張っていってくれる子
- 同じ趣味を持っていて、言葉が不要、雰囲気や目だけで理解しあえる子
- フィーリングが合う、雰囲気や空気が似ている子
- 障害のことを理解して対応してくれる年長者
こうした人とは仲良くなることができ、気持ちよく遊ぶことができています。ありがたいことに、娘が通っている特別支援学級の子供達は根が優しくて、なんとなくフィーリングが合うのか、みんなで仲良く遊んでいます。
通常学級の同級生も、いい意味でリーダーシップが強い子、ちょっと大人びていて「この子は手伝ってあげないといけない子だから!」と母性のようなものを働かせて世話してくれる子がいます。
もちろん正面からぶつかり合い、トラブルになる子もいますが、間に入ってうまく治めてくれる子がいます。お陰様で通常学級でも楽しく過ごせています。
障害の程度や本人の性格にもよりますが、周囲の子の性格や考え方によっては友達ができ、コミュニケーション能力に問題があっても集団にうまく馴染むことができますよ。
一人でいることが楽、という子供もいる
しかし、一人でいるほうが本当にいい、と感じている子もいるようです。
友達がいないと寂しい。ひとりぼっちは可哀相。これは親や周囲が勝手に思い込んでいるだけで、本人は友人という存在を望んでいないケースもあるようです。
- そもそも人に興味がない
- 相手の気持ちを汲むことが下手で人をいつも怒らせてしまうので人と一緒に居るのが嫌
- なにも言わないので、人に都合よく使われてしまう
こうした場合は、人と一緒に居ることが苦痛で重い負担になっています。こうした場合は、本当に友達や親しい人を作る必要があるのか、疑問ですよね。
今の日本の社会では一人で生きていくことが難しいのは確かです。しかし、どういう人間関係を築くのが、どういう環境が本人にとって適当なのか、見極める必要があることもあります。
パニックや攻撃性がある場合は要注意
友達を作る時に気を付けたいのは、パニックになってしまったり、攻撃してしまう子です。
- 特定の音や現象を怖がり、パニックになる
- 決められた順序で物事が進まないとパニックを起こす
- かんしゃくを起こして、手がつけられなくなる
- ストレスを感じると、嘔吐したり、痙攣を引き起こす
- 相手を攻撃する
こうした場合は、障害の内容と現象、対応策まで相手に理解してもらわなければ、友達になってもらえません。ちょっとしたことがきっかけで本人の命に関わる状況に陥ったり、相手をケガさせてしまって賠償責任問題に発展するケースもあります。
発達障害の内容によっては、子供同士の友達付き合いに特別な注意が必要だったり、大人の手助けや監視の目が欠かせないこともあります。
子供の特性と周囲の理解を考えながら友達を作ろう
子供に発達障害があろうが、なかろうが、友達がいる方がいいと思います。集団生活の中で孤立しているより、助け合うことができる親友がいるとメリットは大きいですよね。
しかし、友達を作ることで本人が強い心の負担を感じてしまったり、そもそも友達を必要としていないこともあります。
さらに、相手に危害を加えてしまうなど、発達障害の内容によって「友達作り」が容易でないことも多くあります。
発達に遅れがある子供の場合は、大人がうまく介入してコミュニケーションや友達作りをサポートしてあげるといいですね。また、どんな環境が本人にとっていいのかじっくり考えながら友達作りをしたいですね。