大手育児雑誌や新聞、チラシ、ネット広告などで「無料オーディションで赤ちゃんモデルに!」というような宣伝を見たことがありませんか?
もし本当に無料オーディションで赤ちゃんモデルになり、モデル料を得られるなら応募したい! と思いますよね。
では、本当にタダでモデルになれるのか。経験談を交えて落とし穴と共に紹介します。
目次
赤ちゃんモデルとは
親にとって自分の子供は誰よりもかわいいですし、独特の愛らしさの赤ちゃん時期はまさに一瞬! 思い出作りに、いやいや本当にデビューできるなら夢を見たい!
そんなパパ・ママも少なくないと思います。私も「記念にモデルになれたらなぁ」と思いました。
赤ちゃんがモデルとして登場しているものは実にたくさんあります。
- ドラマ
- CM
- オムツやほ乳瓶などの赤ちゃんグッズのパッケージ
- ベビー服のモデル
- 育児グッズのモデル
- 育児雑誌の表紙などを飾るモデル
少子化が進んで子供の数が減っている今は、モデルを目指す赤ちゃんが少ない状況です。競争相手が少ないと言えますね。ですからチャレンジして成功する確率は決して低くはありません。
赤ちゃんモデルになる方法
(1)個人でオーディションを受ける方法
企業が直接一般の人に向けてオーディションの情報を公開し、モデルを募集していることがあります。読者モデルというのが有名ですね。あとは、子供向けフォトサービスのモデルだったり、身近なサービスのモデルなので応募しやすい利点があります。
(2)モデル事務所などに所属し、事務所を通してオーディションを受ける方法
ドラマ、映画、CM、大手企業のグッズなど、知名度が高かったり、ちょっとした憧れのように思う赤ちゃんモデルの場合は、モデル事務所・プロダクションなどに所属してオーディションを受けるのが一般的です。
事務所に所属すると、より多くの企業のオーディション情報を得ることができます。また、契約内容やスケジュール確認、報酬の支払い、保証などについて、事務所が全て担当してくれます。
知識のない人の場合は事務所に所属した方が、いろいろな相談、交渉、相談などができて安心してモデル活動ができますよ。事務所とはどういうものか
事務所、プロダクションというのは、テレビやドラマ、映画、企業の宣伝などに登場する人を斡旋したり育成する場所です。
テレビ業界、ドラマや映画の製作などは多くの人は馴染みのない世界で、現場はほとんど未知の世界ですよね。
そうした業界のルールや求められる資質を把握していて、それに対応できるよう教育してくれる所であり、また法人同士の取引などを全て担ってくれる所が事務所です。
CMなどの製作会社、商品の宣伝を考えている会社も、トラブルがあった時の対応、報酬などの支払い、取引する上で必要な信頼性など、いろいろな面で「法人同士で取引をする方がいい」といえます。
このためモデル事務所という法人・後ろ盾を得た上で赤ちゃんモデルにチャレンジする方が、チャンスが多いと言えます。
無料「オーディション」という言葉に要注意!
いろいろな場面で目にする「無料オーディションで赤ちゃんモデルに!」という言葉ですが、この「オーディション」という言葉がクセモノです。
ほとんどの場合、この「オーディション」は「モデル事務所や芸能プロダクションに入るオーディション」です。ですから応募しても「モデル事務所に入る資格がありますよ」と言われるだけで、「オムツCMのモデルに応募した」という訳ではありません。
また、オーディション自体はほとんど全てが無料です。別に無料オーディション自体は特別なことでもなんでもないんです。
モデル事務所、プロダクションが募集している無料オーディションは「赤ちゃんモデルを決定するオーディションではない」ので注意が必要です。
赤ちゃんモデルとして採用されるまでの一般的な流れ
商品パッケージや雑誌、CMなどに登場する赤ちゃんモデルとして採用されるまでの簡単な流れを紹介します。
- 1.オーディションに応募
- 2.書類選考、一次選考、二次選考~最終選考を通過し、選ばれたら赤ちゃんモデル候補になる
- 3.実際に写真や動画を撮影して、いいものができたら採用される
- 4.報酬を受け取る
赤ちゃんモデルオーディションのチェック
事務所に所属していると、毎日のようにオーディション情報が得られます。その中から応募したいものを探します。かなり細かく条件が定められていたり、応募期間が短かったり色々なので、毎日チェックが欠かせません。
オーディションではたいてい書類選考があり、その後、一次選考・二次選考と続きます。選考の回数はまちまちですが、赤ちゃんモデルの場合は書類選考のみ、というケースもあります。最終選考を通過して合格すれば、赤ちゃんモデル候補になります。
撮影現場の様子
赤ちゃんの場合、複数のモデルが合格することがよくあります。撮影当日、体調を崩して参加できないとか、機嫌が悪くて製作会社が望むシーンを撮影できないということも多くあるため、2~3人の赤ちゃんが撮影現場に来る、ということは珍しくありません。
一番手の赤ちゃんの撮影が上手くできたので、撮影現場に行ったけれど撮影せずに帰る、ということもあります。
三人全員が撮影し、その後、製作会社が選考して一人分だけ採用する、ということもあります。
また選ばれなかったのに、突然連絡が来て撮影し、赤ちゃんモデルデビューすることもあります。
最善を尽くして結果を待つのみ
最後の最後まで、どの赤ちゃんの写真などが採用されるか、本当にわからないんですね。
オーディションに合格しても実際に世に出るかどうか。それは赤ちゃんと製作会社次第とも言えます。報酬は後日、口座に振り込まれます。製作会社が支払った額の一部を事務所が手数料としてとり、残りがモデルのものになります。
赤ちゃんモデルの種類
ひとくちに赤ちゃんモデルといっても、いろんなモデルがあります。
- テレビドラマに登場する赤ちゃん
- 大手企業のテレビCM
- 育児用品のパッケージ
- ベビー服のモデル
- 大手育児雑誌の表紙
こうした非常に目立つ赤ちゃんモデルに関する情報はモデル事務所に所属しているほうが、情報をたくさん得られてチャンスが多いでしょう。
ハードルの高いモデルの場合は、チャンスはあっても、顔・性格・月齢・体型・性別・健康状態はもちろん、製作者側の意図、世論の風潮、国籍など複数の条件が関係してくるので、モデルになれるかどうか、というのは「運」がとても大きいと言えるかもしれません。
一方で、次のようなモデルもあり、こちらはハードルが低いと言えます。
- 育児雑誌、手芸雑誌などの読者モデルやアンケート会員
- 子供向けフォトサービスのモデル
- 地域新聞などのモデル
- ネットサービス会社が募集する、ネット上のモデル
こうしたものは個人で簡単に応募できることがよくあり、仕事も単発で合格する確率も高いといえます。
ハードルの低いモデルの場合は、「雑誌に登場できた!」「記念になる!」ということが報酬であったり(現金などの報酬がなし)、できあがった製品は自分で買う必要があったり、撮影時の衣装や小道具を親が自作する必要があります。
大手の会社が募集するモデルとは少々、異なるケースがほとんどですね。赤ちゃんモデルにランクがある、とは言いませんが、どういったものに出演したいのか。これによって応募先も変わってくると思います。
合格しやすい赤ちゃんとは?
オーディションの選考基準は製作会社の意図が大きく関係するため、一概には言えません。しかし、同じ条件の赤ちゃんが複数いた場合、次のような点がポイントになります。
目力
雑誌の表紙などの場合、顔の中でも「目」がポイントになります。目は口ほどに物を言うといいますが、目がパッチリ大きく、目力があり、人を魅了するような魅力的な表情を作り出せる「目」が最大のポイントになります。これは大手育児雑誌が赤ちゃんモデルを募集していた時に、採用されるポイントとして挙げていました。
物怖じしない性格も欠かせない
初めての撮影現場で、いろいろな年齢層の人達に囲まれても笑顔になれる。堂々と普段通り振る舞える、といった性格もポイントになります。人見知りや場所見知りをする赤ちゃん、男性を見たら泣く、ママから離れられない、というような赤ちゃんはちょっと難しいかもしれません。
母子モデル、兄弟モデルも募集がある
赤ちゃんモデルといっても、母子モデルの募集や兄弟モデル、双子といった条件が付けられていることもよくあります。赤ちゃんだけでなく、親や兄弟・姉妹で応募できるなら、応募できるオーディションが増えるので採用される確率がアップしますよ。
成長段階、心の発達の面は親の力ではなかなかコントロールし難いのですし、場合によっては親や兄弟・姉妹の力がある方が合格率が高くなることがあります。
アピールする時は顔だけでなく、性格や親子・兄弟といった点も重視したいですね。
モデルをやるなら、やはり首都圏に住んでいた方が良い
多くの事務所やプロダクションは「全国どこからでも応募可」となっています。しかし実際には首都圏に住んでいなければ仕事を請けられないでしょう。
というのも、多くの企業が「東京」でオーディションを行い、撮影します。オーディション会場までの交通費や、撮影会場までの交通費はほとんどがモデル自己負担、自力で指定場所へ行くことになります。
しかも、オーディションの合格通知が撮影の前日夕方ということも珍しくありませんし、落選した、と言われていたが、急遽採用されて「今日、今から来られる?」と打診を受けることもあります。
本当にモデルをやりたい! チャンスをたくさん得たいなら首都圏在住というのは大きな条件となりますね。なお、以前、知り合いに関西在住だが関東の芸能プロダクションに所属し、全国各地のオーディション・撮影に参加している親子がいました。パパと3人の兄弟は大阪で生活し、ママと2歳の女の子はホテル住まい&全国行脚という生活だったそうです。
首都圏以外に住んでいる場合、家族の協力も絶対条件になりますね。
有名なプロダクション
実際に赤ちゃんモデルを目指そうと思った時、どんな事務所に所属したらいいのか迷う。そもそも、ドラマのテロップに出るような1~2か所しか知らない、という方もいると思います。いくつか、事務所を紹介しますね。
絶対的な知名度を誇るテアトル アカデミーに入るなら、お金と本気度が必要になると思います。ただ、業界最大手といえる規模の本格的な芸能事務所なので、赤ちゃんモデルだけでなく子役など、ずっとデビューを狙っていけます。
最初の3つの事務所ではオーディションの情報をもらうだけでなく、劇団などに入団してレッスンを受けながら、赤ちゃんモデルや子役のオーディションに応募することになります。
後の3つの事務所はレッスンなどがなく、オーディション情報をもらってチャレンジする形です。「ちょっとお試しで」「記念に」「本格的な芸能活動は難しい」といった場合でも手が届く、費用・労力を抑えてチャレンジしたい人向けです。
それぞれの事務所に、いろんな赤ちゃんモデルや子役が所属しています。そうした先輩モデルをみたり、事務所の特徴や立地条件、入会金などをチェックして選ぶといいですよ。
経験談「テアトル アカデミー」
もし、大手プロダクションに赤ちゃんモデルで応募したらどうなるんだろう? 興味があるけど、不安もある。そんなパパ・ママも多いと思います。実際の経験談を紹介しますね。
私は娘が生後4か月の時にテアトル アカデミーに応募しました。きっかけは大手育児雑誌です。応募はとても簡単! 自分で撮った娘の写真を送りました。結果は、応募から一週間くらいです。早く結果がわかるのがいいですね。
合格は封筒で知らされました。第一次審査(書類審査)合格という案内と、第二次実技審査(オーディション)の案内、プロダクションの案内パンフレットなどが入っていました。
送られてきた書類によると第一次審査の合格率は「全出願者数の約4分の1」とのことです。どれくらいの期間に、どれくらいの応募があったのか、解りません。また、どれくらいの頻度で応募を受けているのかよくわかりませんが、とりあえず、合格できて素直に嬉しかったです。
テアトルアカデミーへ入学して驚いたこと
第一次審査合格の後は、翌月に行われる第二次実技審査を受け、それが合格であれば芸能学院テアトルアカデミーに入学できる、ということになります。入学というのは、次の手続きを踏むことです。
- 入学金を払う
- プロのカメラマンにお金を払って写真を撮ってもらう(撮影料)
- プロフィール書類を作ってもらう(事務手数料)
- オーディションに合格できるよう、レッスンを受ける(劇団コスモスに所属して、レッスンを受ける。レッスン料が必要)
こういう流れになるので、だいたい20~30万、さらに交通費や必要な費用が掛かります。ここでは、まだ、赤ちゃんモデルにはなれません。そもそも、赤ちゃんモデルのオーディションすら受けていません。
これだけのお金を掛けた後で、実際に赤ちゃんモデルに応募して、オーディションを受け、採用されるのを待つことになります。
無料では「赤ちゃんモデルのオーディション」は受けられません。そこに辿り着くまでが長く、大きなお金が掛かります。
私は、娘が体調を崩して翌月の第二次審査に参加できませんでした。その翌月も第二次審査があったらしく、電話で勧誘がありましたが顔をケガしたこともあってお断りしました。
赤ちゃんモデルに興味はありましたが、テアトルの「0歳から本気で芸能界を目指すんだ!」という姿勢に圧倒され、必要なお金に面食らった、というのが正直な所です。
そもそも、芸能界を目指していた訳ではなく「娘がかわいいという印」をなにかの形で残しておきたい、と思っただけでした。テアトルは応募自体がそぐわなかった、と反省しています。
経験談「キャストネット・キッズ」
テアトルに恐れをなしたものの、わが子が世界一! という親バカっぷりは健在。そんな私はネットで見つけた「キャストネット・キッズ」という事務所に登録しました。こちらはテアトルとは全然タイプが違う事務所です。
- ネットで申し込めば、すぐ入会できる
- 必要なお金は初年度16,200円(2年目以降は10,500円)のみ
- 登録完了後、親が会員ページでプロフィールを作成する(親が自分で撮影した写真を掲載し、発達状況、アピールポイントなどを登録)
- 毎日、閲覧できるオーディションに親が応募する(ワンクリックで応募可)
お試しで応募したい。そんな私にピッタリでした。そうはいっても、簡単に登録できるだけで、仕事がなければ意味がないですよね? その点は少々不安でしたが、意外にもオーディション情報は毎日更新されていて、ボリュームがありましたよ。
娘の場合は、私が応募する以外にも、表に出ていないオーディションに事務所が応募してくれたり、事務所側から売り込みに行ってくれたこともあって、半年間くらいで書類選考は5回通過しました。
体調不良や都合が合わなくて参加できなかったこともありますが、最終選考を通過したのは3回、実際に採用されたのは2回です。
赤ちゃんモデルは親が自由であることが必須条件
- 関東在住
- 私が仕事をしていない(育休中で自由に動ける)
というのが大きなポイントだったようです。「明日、オーディション行けます?」という打診はしばしば受けました。連絡は携帯電話で、時間も夕方だったり、午後8時を過ぎてからだったり、色々でした。
選ばれていた人が急に辞退して代わりに……とか、オーディションもう一回、急に決まった企画に出られる人を探している、とか。赤ちゃんモデル業を生活の中心に置けるなら、結構、オーディションに出て行く回数は多くなります。
家庭への負担。本気度が試されます
ただ、オーディション会場までの交通費は自腹ですし、「合格したから、朝8:30に目黒のスタジオへ行ってね」と前日の夕方に突然言われたりするので結構、大変したよ。
平日の朝、満員電車に赤ちゃん連れで乗るのは、なかなかハードです。そしてスタジオで機嫌が悪くならないよう、オモチャやミルク、オムツといったものも全て自前で準備です。
「起きて遊んでいるシーンと寝ているシーンを撮りたい」といった要望もあったりして、ママ全力投球! です。
8:30までにスタジオへいくよう指示されていたけれど、実際の撮影は10:00から。後から来る他のモデルさん達に挨拶し、自己紹介しながら、ミルクやオムツ替えは撮影前に完了させる。
機嫌が悪くならないよう、控え室でずっとご機嫌取りしつつ、初めて会うモデルさんに慣れさせるよう、顔を合わせたり、他の子供モデルと一緒に遊んだりする。
撮影中、笑わせるためにスタッフさんと一緒になってあやしたり、手を叩いたり、オモチャを見せたり、手を振ったり!
寝るシーンを撮ると言われたら、ミルクを飲ませ、寝かしつけ、背中のスイッチを押さないよう注意しながら指定されたベッドに降ろす。
なかなか大変な思いをしましたが、CM作りに他のスタッフさん達と一緒に参加できたことは親としてもいい思い出です。
- 大手通販会社の通販カタログ(育児グッズページ)の写真撮影
- 大手玩具メーカーのテレビCM
娘はこのふたつのモデルをやらせていただきました。母としては満足でしたが、ずっと続けるには親の金銭的・精神的・労力負担が大きいものだと思いました。
夫の転勤、私の仕事復帰といったこともあり、事務所所属は一年間だけでした。それでも未知の世界を覗けた喜び、半年くらいの期間で二度の採用があったことは本当にラッキーだったと思います。
赤ちゃんモデルは無料ではムリ!でも親次第!
赤ちゃんモデルになるには、企業のオーディションに個人で応募するか、モデル事務所などに所属して応募します。
どんなモデルを目指すのか、どれくらい費用を負担できるか、モデル業にどれだけ専念できるか、こうした点が問題になってきます。
個人でオーディションに応募した場合、採用されても「衣装や小道具を親が自作」「撮影会場までの交通費は自己負担」「できあがった写真や動画は購入しないと手元に残らない」ということがあり、タダでモデルになることはできません。
事務所に所属するなら入会金が必要ですし、場合によっては芸能学院入学ということになって数十万円の大きなお金が必要になります。
こうしたことから「無料オークションで赤ちゃんモデル」というのは少々、語弊があると言えるでしょう。そして、赤ちゃんモデルになれるかどうか、それは運次第、そして親がどれだけ積極的に動くか、という点に掛かっています。
赤ちゃんの時期は一瞬です。そして演技のない自然なかわいい姿をモデルという形で残せるチャンスは多くあります。
無料ではムリですし、親次第、というところもありますが、素敵な思い出作りになるのは間違いありません。チャレンジしてみてはいかがでしょう?