- 歩けるようになるのが遅い?
- 喋らない
- 親のことを見てくれない
- 保育士に指摘された
いろんな理由で「発達が遅れているかも」と不安になることがあると思います。そんな時に「どれくらい、どういう所が遅れているのか」ということを調べる検査を受けることができます。
この検査は比較的簡単に受けられ検査です。しかも子供のどの部分が遅れているのかを客観的に理解できるため、子供との接し方の大きな指針となります。しかしやっかいなデメリットもあるのです。
私の娘が受けた「新版K式発達検査2001」という検査と、その結果から見えてきたことを紹介します。
新版K式発達検査2001とは
新版K式発達検査2001という検査のことを聞いたことがあるでしょうか? これは、子供の発達の状態を把握する検査のひとつです。子供は検査する人と一対一で過ごし、提示される問いに答えたり、指示された動作を取ったり、図形を作ったりします。
検査をする人は子供の反応、様子、回答状況などを総合的に観察し、反応を総合的に判断して、運動や社会性、順応や知能など、様々な発達項目のバランスを結果として数値で出します。
新版K式発達検査
乳幼児や児童の発達の状態を、精神活動の諸側面にわたってとらえることができるように作成されています。発達の精密な観察を行い、精神発達の様々な側面について、全般的な進みや遅れ、バランスの崩れなど発達の全体像をとらえるための検査であって、発達スクリーニングを目的としたものではありません。
<引用元>新版K式発達検査
http://forum.nise.go.jp/soudan-db/htdocs/index.php?key=mudncwnlg-477
この検査を受けることで「病名が診断される」わけではありません。運動機能、言葉の発達、社会性、状況の認知能力や適応能力など、集団生活で必要とされる機能や能力がどの程度発達しているといえるのか。バランスよく発達しているのか。極端にできない事項がないか、などが解ります。
比較的簡単に受けられる検査
これは「専門医」でなくても検査ができます。私の娘は、自治体の発達支援センターに所属している心理相談員という人の検査を受けました。
専門医でなくても検査をしてくれるので、わざわざ遠方の病院に通ったり、特定の施設に入所したりしなくてもいいのがメリットです。短時間で検査が終わりますし、結果も数値で表れますから、解りやすいです。
希望しても、自治体によっては数か月間~一年くらい待たなければ検査を受けられないケースもあるようですが、私の娘は支援センターから直接連絡が来て受けにいきました。
私は、乳幼児検診で発達について相談した経験があります。その記録を元に自治体が動いたようでした。偶然、空きがあって「この日でOKなら受けられますよ」という話だったので、試しに受けてみました。
検査のメリットとデメリット
メリットは客観視出来ること
検査を受けてよかった点は「数値や具体的な項目を見て、娘の発達度合いが把握できた」ということです。
日常生活や保育園での活動を通し、漠然と「できること」と「できないこと」を見ていたのですが、検査をすると「こういったことが苦手」とピンポイントで把握しやすいんですね。
この結果を保育士と見ながら「どんな風に対応していくといいのか」、具体的に考えていくことができます。自宅でも「こう指示するとダメだったけど、別の方法で指示すると理解できる」というように、フォローすることができます。
デメリットは外部に知られる
ただ、デメリットとしては「結果はあくまで参考」ということです。そして、その「あくまで参考というものが、目に見える証拠として自治体に残る」ということです。
例えば、私の娘は「言葉の理解が遅い」という遅れです。
「今から計算ドリルをやって先生の所に持ってきなさい」と言われてもドリルを解けません。
ですが
- 「計算ドリルをやってください」
- 「終わりましたか?」
- 「先生の所に持ってきてください」
というように個別に指示してもらえればできます。また、
- 1.ドリルを解く
- 2.先生に持っていく
という指示を書いた紙を渡されると理解できます。
決して、ドリルを解く能力がないわけではありません。むしろ、クラスでトップクラスの速度で解いて満点を取ります。
しかし、マニュアルに沿って行う検査では「計算ドリルができない」ということになり、知的にも遅れている、となってしまいます。
「いやぁ、能力はあるんですけどねぇ。でも、言葉に反応できないのでほとんどの項目が『×』になってしまうんですよ……」
検査が終わった後で、同じ問題をちょっと工夫した形で指示するとサラサラと娘は解きます。ですから「できるんですけどねぇ……評価は×になります」と心理相談員は苦笑していました。
あくまで目安、参考になりますが、それが実態を正確に表している訳ではありません。発達に遅れがある子供の状態を正確に把握するのは本当に難しいのだな、と感じました。
外部に発達の遅れを知られると…
さて、私の娘は発達支援センターで受けたので、センターに記録が残っています。これが関係したようで、就学前に「就学をどうしますか?」と自治体から問い合わせがきました。
特別支援学校に通うか、支援学級を希望するか、普通学級を希望するのか。そして、それを希望する理由(根拠)となる書類の提出、面接を要求されました。お陰様で、保育園・年長の9月頃から、支援センター、教育委員会、小学校の3つの機関と何度も平日の昼間(相手が一方的に指定する日時)に出向いて対応しなければなりませんでした。会社勤めの身では本当に大変な呼び出しでした。
- 自治体に記録が残るのが嫌
- 小学校は絶対に普通学級に入れたい
こうした希望がある方は、自治体の機関で検査を受けることは避けた方がいいと思います。その場合は、専門医だったり、民間のサービスを利用して「親と医師が把握する」という形にして、自治体のサービスを利用しない形で対応するといいですよ。
自治体にしてみれば、早期に発達が遅れている子どもを発見し、適切なケアができるよう配慮して、長い目で一貫して対応している、ということなのでしょう。
しかし残念なことに、「本当に欲しい」と思うケア・補助を受けられていない場合は「自治体が『自分達は対応している』という形・記録を残したいだけ」というように感じてしまいます。
検査は有効ですが、万能ではありません。そしてどこで検査を受けるか。ちょっと考えた方がいいですよ。
検査を受けた後、親はどうするか
実際に検査を受けた後、その結果を見て「これからどうするのか」親は悩むと思います。私も随分、悩みました。そもそも「言葉の理解が遅れている」となると、コミュニケーション能力が圧倒的に劣る、ということです。これは社会に出ると、実に不都合で、ありとあらゆる面に影響してきますよね。
- 施設にいれるか
- 家において、子供を最優先に環境を整えていくか
- 普通の社会に子供が適応するよう、努力を強いるか
こうした選択肢を考えさせられるわけです。ここは親次第、子供の状態次第ですよね。大体、3~4歳くらいになってくると、できる・できない、ということが際立って見えてくると思います。年少・年中くらいから徐々に方向性が見えてくるのではないでしょうか?
- 言葉の指示をすぐ理解することは難しい。でも周囲の人の動きを真似て行動できる
- 指示をすぐに聞くことはできない。でも、ルーチンワークになれば間違いなく動くことができる
- お手本を見せてもらったり、絵や文書で示されると理解できる
成長するに従って、上記のような子供の特製が見えてきます。それによって「こうすればできるかも」とか「これは本当に難しいなぁ」という像がぼんやりと見えてきます。
焦らず、少しずつ子供の成長を観察しながら「どうすればできるか」「どう環境を整えるか」これを考えてみるといいですよ。検査を受けたら、結果を前向きに捉えよう
検査を受けると、できること・できないこと、これが具体的に見えてきます。結果を全て信用することはできませんし、検査を受けることでデメリットが出たりもします。
ですが、検査を受けると「子供の状態・全体像」を把握することができます。その結果を前向きに捉えて
- 何ができるのか
- どうすればできるようになるのか
- どんな可能性があるのか
こうしたことを考えるキッカケにしてみてください。
そして、この結果を見ながら相談できる相手を見付けてください。私はこの結果を保育士に見せ、相談し、対応について話をしていました。
また、小学生になってからは、新たに受けた検査結果を担当教師に見せ、話をしながら対応の仕方を話しています。
辛い現実を見せ付けられる、という風に思わず、前向きになるためのいち資料。そんな風に思って結果を見てみてはいかがでしょうか?